2018年に入り投資用不動産の環境が大きく変わりつつあると言われている。その大きな要因の1つが、サラリーマン不動産投資家向けに積極的に融資を実行してきたスルガ銀行が融資の引き締めに動いているからだ。
最近では連日ニュースや新聞などでスルガ銀行について取り上げられることが多くなっている。それはスルガ銀行がシェアハウス向け不動産投資に不正に融資を実行していた可能性があるからだ。
不動産投資を検討するサラリーマンであれば誰でもこの問題に巻き込まれていた可能性がある。ここではスルガ銀行の不正融資問題についてみていきたいと思う。
目次
シェアハウスかぼちゃの馬車が急拡大した理由は家賃保証のサブリース?スマートデイズは支払い停止を発表?
シェアハウスかぼちゃの馬車は、そのユニークなスキームからここ数年で市場規模を一気に拡大してきた。かぼちゃの馬車が対象とする入居者は女性専用であり、販売を行うスマートデイズ社が不動産オーナーから一括で物件を借り上げ、家賃を保証するというサブリーススキームを提供していた。
スマートデイズ社が行うサブリースは30年間保証されていたことから、多くのサラリーマン投資家はリスクが低いと判断して、銀行借入を行いかぼちゃの馬車の建設を進めていった。
ところが2017年末、スマートデイズ社から不動産オーナーに対してサブリース賃料の支払いが困難なため、サブリースの支払い賃料はローン返済額まで減額するという通知が届いた。そして2018年1月にはサブリースの支払いを一切停止することを通知した。
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スルガ銀行がシェアハウスかぼちゃの馬車向けに融資を実行?書類の改ざんへの関与は?
スマートデイズ社からサブリース賃料支払い停止を受けたサラリーマン不動産投資家は、銀行返済に行き詰まる形となって問題が世間に知れ渡ることとなった。そして調査を進めていくと、融資を実行した銀行が静岡県の地銀であるスルガ銀行に集中していたことが判明した。
不動産オーナーはスマートデイズ社に保証を求めるものの、スマートデイズ社には支払い能力が無いことは明らかであり、怒りの矛先は大半の融資を実行していたスルガ銀行に向いたのである。
そして更に調査を進めていくと、多くの不動産オーナーは融資実行の際に提出する給与所得の書類や金融資産の書類が改ざんされていたことが分かった。スルガ銀行も書類の改ざんに関与していた可能性があるとして、不動産オーナーは融資契約の撤回を求める動きにまで発展した。
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スルガ銀行不正融資への関与を認める。不動産オーナーとは金利交渉を行うも、融資契約撤回には応じず。
スルガ銀行は当初、書類の改ざんについては関与していないという立場を取っていたが、その後の社内調査で相当数の社員が書類の改ざんの事実を知っていた可能性があるという報告を行った。その後も第3者委員会による調査が続いている。
しかしながらスルガ銀行は行員が書類改ざんの事実を知っていたとしても、融資契約は有効だという立場を貫き、撤回するまでには至っていない。一部では裁判にまで発展しているが、スルガ銀行は大半の不動産オーナーと金利引き下げの交渉をしている。
【スルガ銀行不正融資問題】まとめ
スマートデイズ社が高額なシェアハウスかぼちゃの馬車をサラリーマンに販売しており、サブリース賃料の支払い停止によって、不動産オーナーは家賃収入からの銀行返済はできない状況となった。
物件価格はほとんどが1億以上となっており、サラリーマンの給与所得から返済できる金額ではない。今回はスマートデイズ社が提供した30年保証のサブリースというありえない条件を信じてしまったことが一番の原因である。少し不動産を勉強したことある人であれば、このスキームはいずれ破綻することが目に見えていた。
今回の問題は、サラリーマン不動産投資家であれば誰にでも起こりえた。今回の問題からしっかりと学び、失敗しない不動産投資を進めていくようにしよう。
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