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【地震保険】には加入した方が良いか?地震保険の制度趣旨や保険金支払いの被害認定方法とは?不動産賃貸経営リスクヘッジに十分な設計とはなっていない?

地震大国に日本において不動産投資を行う場合は、大地震のリスクを抱えていることになる。地震対策としては、地震保険に加入すれば問題ないと考える人がほとんどだが、実際は必要経費の払い戻しが受けられないことが多い。

現在の地震保険は設計上の問題が多くなっている。ここでは地震保険の詳細と、地震保険に加入すべきかについてみていきたいと思う。

地震保険の制度趣旨とは?不動産賃貸経営のリスク軽減には十分な設計とはなっていない? 

東日本大震災発生後、地震に対するリスクが再認識され、地震保険に注目は集まっている。しかしながら、地震保険のカバー内容や保険金を考えると、賃貸経営のリスクを軽減するためには十分な内容とはいえず、加入するかは慎重に検討する必要がある。

地震保険の制度趣旨は、損壊した建物を修繕や再建築するための資金を提供するのではなく、生活を再建していくために必要となる資金を提供することとなっています。

したがって、地震で建物が損壊しても、修繕や再建築に必要な資金全額をカバーできるわけではなく、期待するような保険金が受け取れない可能性があることを認識しておく必要がある。

地震保険の3段階の保険金支払い規定、被害査定とは?東日本大震災ではほとんどが一部損認定? 

地震保険の保険金支払いは、被害の状況によって3段階に分類されている(2017年1月以降の契約の場合は4段階となっている。詳細後述)。外壁が多少傷ついた程度の場合は一部損として評価額の5%程度、躯体の柱が何本も傷んでいるようであれば半損として評価額の50%、津波で建物が流されてしまったような場合には全損として評価額の100%が支払われると規定されている。

2011年の東日本大震災の時には、保険会社は震災の規模と影響の大きさを考え、保険金支払いの審査を柔軟に行い、可能な限り支払いを行うスタンスを取った。しかしながら、首都圏では90%が一部損認定に留まり、ほとんどの人が評価額の5%程度の保険金支払いしか受けられなかった。

被害の大きかった宮城県でも、保険の支払いが無かったのが10%、一部損が75%、半損が15%の割合で、全損認定されたのは1%以下とのデータもある。

被害状況による支払いは3段階しかないため、大規模修繕が必要な規模の地震が起こっても、保険金でカバーできる可能性は低くなっている。

地震保険の4段階の被害認定、保険金の支払いとは【追記】 

2017年1月以降の地震保険の契約では、保険金支払いの被害認定が3段階から4段階へ変更されている。

全損(100%)、大半損(60%)、小半損(40%)、一部損(5%)の4段階で、保険金の支払いは保険金額に対する%で決められている。

ただし、時価が上限となるので、その点は注意してほしい。

地震保険の保険金額は火災保険の30%~50%に設定され、建物は5,000万円、家財は1,000万円までと上限も設定されている。

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地震保険の保険料はエリアや建物の構造によって大きく異なる。 

地震保険の保険料はエリアや建物の構造によって大きく異なる。詳細は保険会社に確認した方が良いが、地震が起こってもほとんどのケースで一部損としか認定されず、評価額の5%の支払いしか受けられないのであれば、支払っている保険料に対してリターンが小さいということが多い。

エリアによって3倍程度保険料が異なることがあるし、木造はRCより6倍以上保険料が高いというケースがある。新耐震構造のRCであれば、地震への耐性が強いことが、東日本大震災でも証明されているため、無理して加入することはないだろう。

もし不動産を保有しているエリアが津波の被害を受けそうなのであれば、地震保険に加入しておくのも良いだろう。

【地震保険】には加入した方が良いかまとめ 

地震保険は保険設計が不動産賃貸経営リスク軽減に十分ではなく、保険料に対して見合った保証が受けられないことが多い。エリアや建物の構造、地震発生のリスクを考えながら、加入を検討すると良いだろう。

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