シェアハウス不正融資問題で渦中のスルガ銀行が、岡山県のサラリーマンから訴訟を起こされ、第1回の口頭弁論が大阪地裁で行われた。シェアハウス向け融資ではスルガ銀行の融資担当者が書類の改ざんを認知していた可能性が高く、スルガ銀行がどのような発言を行うかが注目された。
ここではスルガ銀行が起こされた訴訟の内容と、それに対する見解を述べていきたいと思う。
目次
スルガ銀行不正融資問題で岡山県のサラリーマンから訴訟へ。書類改ざんに関与した疑い。損害賠償金額とは?不動産業者も訴訟へ。
スルガ銀行を訴えたのは岡山県在住の30代男性。原告は年収が融資基準に満たさないのに、書類が改ざんされて高額な物件を買わされたとして、スルガ銀行とその融資担当者に対して融資金額相当の2億3,000万円の損害賠償を請求した。
また購入した物件のレントロールも改ざんされ、家賃収入が水増しされていたことから、不動産販売業者と勧誘業者も訴えた。
レントロールの改ざんに関してはスルガ銀行の関与はないと思うが、融資実行の際の確定申告・預金残高書類の改ざんに関与していたかどうかが焦点となりそうだ。
スルガ銀行不正融資訴訟問題、口頭弁論での対応は?通帳の原本確認怠ったことは認めるも、被害者の立場を強調。
スルガ銀行は口頭弁論にて、原告は複数の不動産物件を所有しており、不動産投資の経験は豊富。通帳などの改ざんについては原本確認を怠ったことは認めたものの、原告も改ざんに関与していたとして、徹底抗戦する姿勢をみせた。
原告がスルガ銀行に損害賠償を求めるのは、詐欺師が被害者に対して詐欺に気付かないのが悪いというようなものと、原告の主張を真っ向から否定。スルガ銀行は被害者の立場であることを明確にした。
原告とスルガ銀行の間で主張が大きく食い違い、本件は長期化しそうだ。今回の判決がシェアハウス不正融資問題の被害者に対する判決にも大きな影響を与えるため、どのような結論となるのか注目が集まる。
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スルガ銀行不正融資問題訴訟に対する感想・コメント・見解。責任の大半は不動産業者でスルガ銀行は一部の関与のみか。支払い能力は十分か?
まず原告がレントロールの改ざん・家賃の水増しで優良物件と誤認した問題については、スルガ銀行を訴えるのは筋違いである。スルガ銀行も融資審査の際に偽造されたレントロールが提出されたのであれば被害者の立場で、訴えられるべきは不動産業者である。
確定申告書や預金資料の改ざんについても、スルガ銀行に一定の関与があったとしても、書類の改ざんを主導したのは不動産業者である。そのため、こちらの問題も大部分の責任は不動産業者に問うべきであろう。
訴えられた不動産業者の会社規模は不明であるが、損害賠償の2億3,000万円の支払いの力がない可能性が高い。そのため支払い能力のあるスルガ銀行を相手に訴訟に踏み切ったのだろう。
だが今回の訴訟を客観的に分析すると、スルガ銀行の責任はあるとしてもほんの一部となるだろう。スルガ銀行の対応には納得がいく。
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ついにスルガ銀行不正融資問題の口頭弁論がはじまった。ただ今回の件で全ての責任をスルガ銀行に問うのは無理があると思う。責任を問うのであれば販売した不動産会社と勧誘会社であろう。
不動産投資は結局自己責任である。購入も自分の意思で判断したにも関わらず、運営がうまくいかないからと言って訴訟を起こすのは間違っている。今回の件で理解できるのは、レントロールの改ざんで不動産会社に対して訴訟を起こすことだけである。
是非これから不動産投資を検討するサラリーマンは、不動産業者に言われるがままに物件を購入するのではなく、自分でしっかりと判断して失敗しないことを祈っている。
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