不動産物件を購入する際、売買契約書に建物と土地の内訳を記入する場合がある。基本的には合理的な説明が金額にしなければならないが、説明さえできればその内訳を多少いじることが行われている。
実際には税理士などの専門家と相談の上進める必要はあるが、ここでは建物の割合を大きくした方が良い理由について解説していこうと思う。
目次
建物価格割合を大きくしてキャッシュフローが増えるのは原価償却費が影響。可能な限り売主と交渉した方が良い。
不動産物件の建物価格の割合を大きくした方が良い理由は、減価償却費を多く計上できるからだ。原価償却費が多ければ、手元に残るキャッシュも多くなる。したがって不動産投資でキャッシュを多く残したいのであれば、減価償却を多く計上できるように工夫することが重要となる。
もし売買契約書に建物価格を記載する場合には、減価償却費の計算では原則その価格を使用することになる。そんため、売主の希望通りに建物価格を決めるのではなく、中長期的な税金の試算も行いながら、可能な範囲で建物価格を調整していくことが好ましい。
だが減価償却費を多く計上しすぎて、最終的には支払う税金が多くなってしまうケースもあるので注意が必要だ。それは個人で不動産投資を行い、5年以内に不動産を売却する場合は、税金の総額が多くなってしまう可能性がある。
⇒【不動産投資で建物価格の割合を大きくした方が良い理由とは?】
不動産投資で減価償却を多く計上しすぎて税金が多くなる場合とは?個人の短期間譲渡税・長期譲渡税に注意が必要。
個人が購入した不動産物件を5年以内(1月1日が基準となり、1月1日を5回経過する前)に売却した場合、短期譲渡税として39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%(2037年まで)、住民税9%)が課されることとなる。その際に対象となる不動産価格は購入価格ではなく、原価償却費を差し引いた価格が基準となるため、原価償却費を大きく計上していると、想定以上に短期譲渡税が高くなることがある。
個人で不動産を取得して5年以上で売却した場合は、長期譲渡税として20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が課されることとなる。
個人で不動産投資を行う場合は、その物件を5年以上保有するのかどうかも考えながら、原価償却費をうまくコントロールして、キャッシュフローを出すことを考える必要がある。
建物価格割合の大きくするのを拒否するのは課税事業者の場合。消費税額が増加するため。売買価格調整の交渉なので工夫も可能。
個人で不動産を購入して基本的には5年以上の長期で保有する場合は、可能な限り建物価格の割合を高くして、毎年の原価償却費の金額を大きくし、キャッシュフローを多くした方が良い。たが、売主が売買契約書に対する建物価格の割合を高くすることを嫌がるケースがあるのだが、それはなぜであろうか?
もし売主が課税事業者の場合、建物の価格に対する消費税を納税する必要がある。そのため建物価格の割合を大きくすると、消費税額も多くなるため、売主が嫌がることがあるのだ。
その場合の対応として、もし建物価格の割合を高くすることでメリットがあることがわかっているのであれば、売主の消費税負担額増の全部または一部を不動産価格に上乗せするといった交渉を行うことも可能である。
⇒【不動産投資でサラリーマンを引退する方法やポイントを解説】
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【建物価格割合を大きくした方が良い理由】の詳細をわかりやすく解説まとめ
不動産投資の税金は非常にややこしいため、税理士に相談して進めることをおすすめする。税理士の費用が高額で躊躇するかもしれないが、それ以上に税務上のメリットが大きくなることが期待できるし、追徴課税などの税務上のリスクも少なくすることができる。
その上で可能な範囲で、税金をうまくコントロールするための対策を行っていくことが望ましい。
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