サラリーマンが不動産で銀行から融資を受ける際には、年収などの属性によって融資限度額が設定されていることが多い。そのため基本的には融資可能限度額を目安に物件取得をすすめていき、不動産賃貸業の実績を積んで、手元に現金を貯めてから、更に規模拡大を目指すというのが一般的な戦略となる。
しかしながら、不動産業者から複数棟同時購入すれば、融資限度額以上にローンが組めるという話をされることがある。ここではその理由やからくりについて紹介していきたいと思う。
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目次
2棟同時購入でサラリーマンの融資限度額以上に銀行ローンを組める理由は?個人信用情報登録の隙をついた方法。リスクは?
不動産業者が2棟以上の複数棟を同時購入すれば、融資限度額以上にローンが組めるという理由は、銀行が個人信用情報を登録するタイミングの隙をついて融資を引き出すことを意図していると思われる。
このやり方は、意図的にやったことがばれてしまうと、銀行との信頼関係が崩れて、その後の融資が受けづらくなるという問題点があるので、その点はしっかりと認識しておく必要がある。
これ以上の規模の拡大は狙っていかないなどの事情があれば、不動産業者に任せて行っていくのもありだとは思うが、一般的にはおすすめできる手法ではない。
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不動産業者が2棟同時購入をすすめる本当の利用とは?不動産業者の利益は中間省略登記によって仲介の売買手数料以上に。
不動産業者が2棟以上の複数棟の同時購入を進めてくるのは、一見すると融資限度額以上にローンが組めるので、買主にメリットがあるように考えてしまうものである。しかしながら、不動産業者が手数料で大きな利益を得ているということは忘れてはならない。
このような手法を行う不動産業者は、中間省略登記を行って、購入者にフルローンやオーバーローンを組めるようにすることが一般的だと思う。通常の不動産取引では、仲介における売買手数料は最大で3%ではあるが、中間省略登記で不動産業者が売主となると、それ以上の手数料を乗せて販売することが可能となる。
不動産業者がどの程度の利益をのせているかは、物件によって異なってくるが、一般的には5%~10%の利益は乗っていると思っておいた方が良いだろう。
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属性が良くなく自己資金の少ないサラリーマンが一気に不動産投資物件を取得することができる手法。リスクや問題点を理解して進めるのはあり。
自己資金が少なく、属性もあまり良くなく不動産投資をなかなかはじめられないサラリーマンにとって、この方法は一気に不動産投資物件を取得するチャンスではあるが、不動産業者の利益は大きく、また銀行との関係を悪化させる可能性のある手法であることは理解しておいてほしい。
それでも利回りやキャッシュフローが魅力的な物件であれば、検討してみても良いだろう。この手法で不動産物件を紹介されるときの特徴としては、高利回り物件、オーバーローン(あるいはフルローン)、中間省略登記で不動産業者が売主、不動産業者が中小零細企業であることが多い。
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不動産投資物件を2棟同時購入すればサラリーマンの融資限度額以上にローンが組める理由やからくりまとめ
最近までのサラリーマン不動産投資ブームでは、この手法で一気に不動産投資物件を取得した人は多かった。ただ、中には悪徳不動産業者に騙されて、あまり良くない物件を購入してしまった人も多いので、注意が必要だ。
今後はスルガ銀行のシェアハウス向け不正融資の影響を受けて、中間省略登記やオーバーローンなどは使えなってくる可能性が高いだろう。
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