不動産投資で大きく利益を得ることができるのは、物件の売買のタイミングである。そのため、不動産物件を短期間で売買することができれば、大きく利益を上げることができると考える人も多いだろう。
不動産の短期売買は、不動産業者が行っている業務と同じであり、初心者やサラリーマン投資家におすすめできる手法ではないものの、ある程度の経験を積むことで実践することは可能である。
ここでは不動産短期売買で利益を出すことの問題点について、銀行融資の観点からみていきたいと思う。
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目次
銀行が不動産短期売買を嫌がる理由とは?バブル期の反省や融資審査の手間に見合わなくなる。
銀行融資を利用して不動産投資をする場合には、銀行は短期売買を嫌がる傾向がある。その理由は1990年前後の不動産バブルの時代に、多くの銀行が短期売買向けの不動産融資を乱発したため、不動産バブルを引き起こしたとう反省があるからである。
銀行は不動産物件に融資を行うためには、基本的に長期保有を前提として審査を行い、長期間のキャッシュフローの試算を行う。融資の審査にはそれなりの手間がかかり、長期的な金利収入を得るために融資を実行したにもかかわらず、短期間で物件を売却されてローンを一括返済されてしまうと、かけた労力に対してリターンが見合わなくなってしまうというのも、短期売買が嫌がられる理由である。
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銀行は長期保有前提で不動産融資を実行。不動産市況の変化などでの売却は仕方ないが、短期売買を繰り返すのは得策ではない。
銀行の不動産向け融資は、長期保有を前提として実行されるため、修繕費用を銀行口座に積み立てることを要求する銀行も多い。しかしながら、銀行との関係を気にしすぎるがあまり、高値で売却できる不動産物件を売らないという選択をするのも、不動産経営者としては間違った選択とも言える。
不動産市況の変化やライフプランの変化によって不動産物件を売却すること自体は問題ないが、1年や2年などの保有期間で売買を繰り返してしまうと、短期売買目的の不動産投資家と見做されて、その後の融資が付きにくくなるおそれがある。
銀行員も短期売買を繰り返されると、上司から説明を求められることとなり、融資担当者との関係性も悪化してしまうことになる。そのため、相当のメリットがない限りは、短期売買は行わないほうが良いだろう。
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銀行の不動産短期売買の目安期間とは?長期譲渡税の対象となる5年以上。大きな売却益を得られのであれば、短期売買をする選択肢も。
銀行が不動産向けに融資を実行する際には、20年~30年の長期間となることが多いが、短期売買の目安となるのは、どのくらいの期間なのだろうか?
保有期間の目安としては、個人が不動産物件を売却した際の長期譲渡税の基準となる、5年が一つの基準となる。5年以上保有してからの売却であれば、銀行から文句を言われることもないだろう。また、銀行は3年前後で担当者が転勤となることが多いため、5年以上保有していれば、融資を実行した担当が異動になっている可能性が高いというのも、文句を言われない理由となる。
ただ銀行の顔色をうかがい過ぎて、高値売却のチャンスを逃してしまうのももったいない。変動金利で借入している場合には、短期売却であっても早期返済のペナルティー無しに一括返済をすることが可能となるので、今後の融資が期待できなくなっても、それ以上に利益が取れると思えば、短期間で売却するのも良いだろう。
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不動産短期転売で利益を出すことの問題点まとめ
不動産は売買でかかってくる諸経費の金額が高額であるため、初心者が短期売買で利益を上げるのは簡単ではない。基本的には、銀行との関係性を考えても、長期保有を前提としていくと良いだろう。
それでも短期売買によって大きな売却益を得られるのであれば、売却しても問題はない。銀行との関係は悪化するかもしれないが、売却で大きな現金を保有することができれば、その後融資を受けられる可能性は高いし、他でも融資を受けられる銀行は見つかるだろう。
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