不動産投資では経費計上が可能となるため、サラリーマン投資家の中には税金対策で不動産所得を赤字にし、所得税や住民税の還付を受けている人も多いだろう。しかしながら、不動産所得が赤字であると銀行から追加で融資が受けるのが難しくなり、規模を拡大していくのが困難となる。
ここでは税金対策で赤字決算の場合、銀行融資が出ない理由について、説明していきたいと思う。
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目次
赤字決算だと銀行融資が出ない理由とは?物件取得初年度は不動産取得税などの諸経費で赤字決算など説明ができればローンが組める場合も。
一般論として、決算が赤字のサラリーマンで、個人事業主、会社に対しては融資を行わないというのが銀行のスタンスである。不動産物件取得初年度は、不動産取得税や登録免許税などの諸経費が発生するため、赤字決算となることが多い。このように一時的な赤字で説明がしっかりとできるものであれば、問題ないと判断されて融資が出る可能性もある。
では実態としては順調に不動産賃貸経営を行っており、利益やキャッシュフローが出ていにも関わらず、決算書が赤字だと融資を受けられないのだろうか?その理由には、金融庁の監視の目や金融検査マニュアルの存在がある。
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銀行が赤字決算だと融資をしない理由とは?金融検査マニュアルで貸出先の分類、自己資本比率維持が必要。
金融検査マニュアルでは、銀行は融資先を正常先から実質破綻先までに分類して、金融庁に報告する義務がある。分類が悪い先への融資は金融庁から説明を求められることになり、貸倒引当金を計上して、財務状況の悪化に繋がるのである。
銀行は銀行法とバーゼル規制で自己資本比率を一定以上に維持していく必要があり、問題先への融資が増えると自己資本比率の低下につながってしまうのである。自己資本比率が低下すると、金融庁から目を付けられ、増資をしたりして、自己資本比率を改善していく必要がある。問題のある先に融資をして得られる金利収入より、金融庁への報告対応や場合によっては増資となると、コストが余計にかかってしまい見合わなくなる。
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2018年以降の銀行の不動産投資に対するスタンスは?スルガ銀行シェアハウス不正融資の影響は?
銀行にはこのような裏事情があり、積極的に融資を行いたくても、赤字決算のサラリーマンや会社に対しては融資をすることが難しいのである。銀行としても最近は融資先が見つからずに資金が余っており、業績悪化の一因となっています。資金が余っている銀行は国債などの有価証券での運用を増やし、結果として赤字となって金融庁から業務改善命令を受けた事例も多い。
2018年以降はスルガ銀行のシェアハウス不正融資問題で、銀行の不動産に対する融資はより一層引き締まることが予想され、銀行融資を使って不動産規模の拡大を狙っていくのであれば、黒字決算にして積極的に税金を支払っていくことが重要となるだろう。
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税金対策で赤字決算の場合に銀行融資が出ない理由まとめ
銀行は貸出先を探しているにも関わらず、金融庁の監視や金融検査マニュアルの存在によって、節税対策であっても赤字決算のサラリーマンや企業に対しては融資を行うことができない。
今後は不動産融資が厳しくなっていくことが予想される中、過剰な節税はせず、黒字決算を作っていくことが重要となる。
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