個人で不動産投資を進めていくと累進課税で税金が高くなることから、法人設立を検討することになるだろう。だが、法人設立には費用がかかるし、維持にもそれなりの費用がかかることから、なかなか法人設立に踏み出せない人も多い。
ここでは個人と法人どちらが不動産物件所有に有利か、法人設立のタイミングについてみていきたいと思う。
目次
不動産購入のために法人設立にかかる費用やランニングコストとは?法人に適用される税率は?
一般論としては、不動産の規模が大きければ法人、小さければ個人が有利になる。ただし、法人で不動産物件を購入してく場合、まず法人設立費用で株式会社の場合は約25万円、合同会社の場合は約10万円が必要となり、毎年のランニングコストとて法人住民税が年間約7万円、これに加えて税理士報酬が年間30万円~40万円がかかってしまう。そのためある程度の不動産の規模が無いと、固定費負けしてしまうことは要注意だ。
法人の税率の重要な点は、税引前利益800万円までは15%~19%の安い税率が適用され、800万円以上は23.4%の税率が適用される。個人に比較すると税率が安いため、法人設立によって節税できるというメリットがある。
サラリーマンが個人で不動産を保有される場合の注意点は?適用される税率は?給与所得と合算で累進課税。
サラリーマンが個人で不動産を保有する場合には、本業の給与所得と不動産の所得は合算されて累進課税が適用されるため、不動産の所得に対する税金が高額となってしまう。
そのため、個人で不動産投資を行う場合には、所得全体の税率だけでなく、給与所得のみの場合の税率はいくらか、不動産を購入した場合に適用される税率はいくらか、不動産所得が100万円増えるごとに適用される税率はいくらか、をそれぞれ把握しておく必要があります。
給与所得が高額なサラリーマンは、個人で不動産投資を行うメリットは基本的にありません。特に給与所得が1,800万円を超えるサラリーマンは、個人で不動産を持つと、不動産収益の50%以上が税金で取られることになる。これでは、個人で不動産投資を行う意味はないと言える。個人で給与所得が高いサラリーマンは、規模が小さくても法人で不動産を保有すべきである。
個人で不動産投資を行った方がいい場合は?区分所有マンションや長期的に利回りが期待できる物件、耐用年数を超えた築古木造アパート。
区分所有マンションを数部屋程度という小規模の不動産投資を行うのであれば、法人の設立費用や維持費を考えると、個人で保有した方が良いだろう。
個人の場合は、5年以上保有して売却すると売却益に対する税率が長期譲渡課税の20.315%と、法人にはないメリットがある。したがって、利回りは低いが将来的に値上がりが期待できるような不動産は、個人で保有する方が有利なこともあり得る。
あるいは耐用年数を超えた築古木造アパートを購入して、4年で減価償却して、5年後に高く売却するという場合には、個人が有利なこともあり得る。
【個人と法人】不動産物件を所有するのはどちらが有利かまとめ
不動産の税金は想像以上に高く、何も考えずに税金の支払いを行っていると、資金は貯まっていかない。常に法人設立を考え、税引後利益がどちらが多くなるのかを計算していくことが重要となる。
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