スルガ銀行の不適切融資は1兆円規模という報道がされたが、本当に1兆円で済むのか疑問が残る。
ここではスルガ銀行の不動産向け融資の実態をみていきたいと思う。
目次
スルガ銀行の不動産向け融資、不適切融資の報道内容とは?
日本経済新聞が2018年8月21日に報道した内容によると、スルガ銀行の不動産向け融資は約2兆円で、その半分となる1兆円が不適切融資されていた。
これは現在スルガ銀行の不適切融資を調査している第三者委員会からのリークであると思われるが、スルガ銀行は正式な報告を受けていないと、報道内容を否定している。
情報源は定かではないが、1兆円もが不適切融資をしていたという内容は大きな衝撃を与え、スルガ銀行の株価は大幅安となっている。
だが、私はスルガ銀行の不適切融資が50%という数字で収まるとは思っていない。
スルガ銀行が把握していたかは別として、ほぼ100%に近いのではないかと思う。
もしスルガ銀行の不動産向け融資が2兆円であれば、その金額に近いものが不適切融資となるわけだ。
⇒【サラリーマンが業者に騙されないために知っておくべきこと】
スルガ銀行の不動産向け融資の特徴とは?
スルガ銀行は給与所得が高い、高属性のサラリーマンを中心に不動産融資を行っていたが、スルガ銀行の融資条件の特徴は、金利が4.5%(首都圏であれば3.5%の場合も)。
期間は耐用年数越えも可能で、30年の融資を出す場合もある。RCや重量鉄骨の物件の場合、築60年を上限としていたこともあったので、築25年のRCであれば35年間の融資も可能。
そして諸経費を含めたオーバーローンが可能であった。表向きには物件価格の90%しか融資を行わないため、不動産業者が偽の契約書を作成して、それをスルガ銀行に提出していた(二重契約という)。
融資を受ける側としては、融資期間が長いこととオーバーローンを組めることは大きなメリットではあるが、金利が他の金融機関と比べると大幅に高い。
融資期間が長いだけであれば、融資期間が短くてももっと金利が安い銀行から融資を受けたほうが良い場合も多いため、オーバーローンが可能というのがスルガ銀行から融資を受ける最大のメリットである。
⇒【銀行融資二重契約オーバーローンについてわかりやすく解説】
スルガ銀行の不動産融資の全てが不適切融資の理由とは?
スルガ銀行から融資を受ける最大の理由はオーバーローンであり、オーバーローンを行うためには売買契約書の二重契約という書類の改ざんが必要となる。
この状況を考えると、スルガ銀行の不動産融資のほぼ全てが、書類が改ざんされた不適切融資である可能性が高いだろう。
第三者委員会が現在調査を行っているが、おそらく不適切融資として公表する数字は、スルガ銀行の融資担当が、書類の改ざんを把握していたケースだけになると思う。
スルガ銀行の担当の中には、不動産業者が書類改ざんを行っていることを知らずに、融資を実行したケースもあり、それは不適切融資とは含めないと思われる。
そうなるとスルガ銀行が書類改ざんを認識していた不適切融資が1兆円、スルガ銀行が書類改ざんを認識していない融資が1兆円ということになる。
スルガ銀行が書類の改ざんを認識していないケースが、不適切融資だったかを確認するには、件数的にも時間的にも間に合わないため、今回の調査では通常の融資として公表されると思われる。
スルガ銀行の不適切融資は1兆円では済まないまとめ
繰り返しになるがスルガ銀行から融資を受ける最大のメリットはオーバーローンであり、そのためには書類の改ざんが必要であった。
不動産投資家の中で、色々と金融機関の選択肢がある中で、意図的にスルガ銀行から融資を受けたという人は聞いたことはない。
金利が高いのは承知しながらも、他の銀行が出さないような条件で融資を行っていたため、そこにメリットを見出して融資を受けていたのである。
今後第三者委員会からの調査概要が発表されるが、その発表がどこまで実態を反映したものになるのか注目だ。
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