ほとんどの銀行が低金利で苦戦する中、独自のビジネスモデルを確立して驚異的な利益率を達成していたスルガ銀行。
しかしながら、その実態は書類の改ざんで融資を実行するという信じられない状況で、スルガ銀行の存続をも危ぶむ声が聞こえてくる。
スルガ銀行は不動産融資を実行する際、独占禁止法違反に該当する「優越的地位の濫用」ともとれる行為を行っていた。
ここではそのケースを紹介していきたいと思う。
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目次
スルガ銀行「優越的地位の濫用」抱き合わせ販売・融資の実態とは?
スルガ銀行は不動産融資を実行する際に、(不動産融資の4.5%も高いのだが)金利が8%を超える高金利のフリーローン、定期預金、生命保険の加入などが条件となっていたケースが存在する。
私個人としてもフリーローンはなかったが、定期預金と生命保険の加入は求められたことがある。
定期預金は1億円の融資につき200万円~300万円程度。ちなみにこの定期預金についてもオーバーローンで融資を受けていたため、定期預金金利はほぼ0で不動産融資の金利が4.5%とすると、年間9万円~13.5万円の支払いをスルガ銀行にしていることとなる。
30年間もやっていると300万円前後になるからおそろしい。
生命保険については、不動産融資では団体信用生命保険(団信)に加入するため、基本的には死亡保険はいらないのだが、担当者の顔を立てるために、興味のない個人年金に加入し、毎月1万円の積み立てを行っている。
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スルガ銀行からフリーローンを借りている投資家の割合とは?
スルガ銀行の2018年3月時点の決算資料をみると、フリーローンの割合の高さに驚かされる。
スルガ銀行の2018年3月末時点の貸出金残高は3兆2,459億円で、うち個人向けローンが2兆9,259億円と90%を占める。
個人向けローンのうち、不動産向けなどの有担保ローンは2兆6,545億円で90.7%、フリーローンなどの無担保ローンは2,714億円で9.3%となっている。
有担保ローンと無担保ローンの比率は約10対1であるが、おそらくフリーローンを条件とされていた人は不動産向け融資の1/10くらいの割合で契約していると思われる。
たとえば不動産向け融資が1億円であれば、フリーローンは1,000万円といった形。
そうなると、スルガ銀行から融資を受けている大半のオーナーがフリーローンを契約しているのかもしれない。
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スルガ銀行の貸出金利、延滞率、毀損率とは?
次にスルガ銀行の貸出金利や延滞率、毀損率についてみていきたいと思う。
こちらも2018年3月時点の数字だが、有担保ローンの平均貸出金利は3.55%、延滞率は0.10%、毀損率は0.27%。
有担保ローンには住宅ローンも含まれているが、先日日経新聞が不適切融資1兆円規模と報道した時には、住宅ローンを除く不動産向け融資は約2兆円という内容だった。
個人向けローンが2兆9,259億円なので、数字をまるめて住宅ローン1兆円で平均金利1%、不動産向け融資2兆円とすると、不動産向け融資の平均貸出金利は4.825%となる。
この数字はスルガ銀行の不動産向け金利4.5%より高くなっているので、現実的ではないが、相当な件数の融資は4.5%で行われ、維持されているということが想像できる。
一方で無担保ローンの平均貸出金利は9.94%、延滞率は0.13%、毀損率は0.46%となっている。
無担保ローンの金利は2014年3月には11.27%、2017年3月でも10.07%でそこからは下落しているものの、引き続き高金利となっており、フリーローンが不動産融資の条件となっていたオーナーは、相当な金利を支払っていて収益を圧迫していることだろう。
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【スルガ銀行】不動産融資と一緒に高金利フリーローン・定期預金・生命保険の抱き合わせ融資・販売を実行まとめ
スルガ銀行は独自のビジネスモデルで、高収益を達成してきたが、その実態は悪質なものばかりである。
現在は書類改ざんによる不適切融資に焦点が当たっているが、定期預金・フリーローン・生命保険などの抱き合わせ融資・販売が明かになった場合には、さらに大きな問題として取り上げられる可能性もある。
今後、金融庁から相当厳しい処分が下ることが予想されているため、引き続き注目していきたい。
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