みなさんは不動産の収益計算を行う場合、なにをつかっているだろうか?
エクセルでやる人もいれば、有料のツールを購入している人もいるかもしれない。
もし独自で収益計算を行わずに、不動産業者に出された収益計画を信じて物件を購入している人がいたら、非常に危険なので是非とも自分で計算してみてほしい。
私は不動産の収益計算を行う際に「マネログ」というものを使っている。
「マネログ」は個人向けのファイナンシャル教育やスクールの運営を行うファイナンシャルアカデミーが提供しているツールであるが、誰でも無料で使うことができ、とても便利である。
不動産の収益計算のほかにも、住宅ローンや不動産ローンの見積もりができるツールや、株式投資の記録を残せるツールもある。
ここでは不動産収益計算ツールの使い方を紹介していきたいと思う。
目次
「マネログ」の登録方法や使い方。
「マネログ」のページは以下のように構成されていて、利用するには無料の新規会員登録が必要となる。
「ニックネーム」「お名前」「ふりがな」「E-Mail」「パスワード」を入力するだけで簡単に登録することができるので、右上に表示されている新規会員登録のボタンをクリックして登録しよう。
会員登録が完了したらログインして、赤で囲った「不動産投資シミュレーションツール」を使ってみよう。
「不動産投資シミュレーションツール」のページは以下の通りで、過去に登録したものは最近のシミュレーションに表示される。
データが多くなってきたら、左にあるシミュレーション一覧検索から検索することが可能なので、後から参照できて非常に便利である。
⇒【サラリーマンが不動産投資で好条件の融資を受ける方法やテクニック】
「マネログ」不動産投資シミュレーションの使い方
新規に計算を行いたい場合は、赤く囲った左の「新規シミュレーションを登録」をクリック。すると以下の画面が表示される。
それでは一つずつ見ていこうと思う。必須となっているのは必ず入力しなければならない。
【物件情報】
■物件名
あとからわかりやすいように物件名を入力。物件名がわかっている場合はそのまま、わかっていない場合は場所と建物の構造を入れておくと良いだろう。たとえば「港区三田RC」のように。
■備考
ここは複製で条件を変える場合に記入しておくと、後から参照するときにわかりやすい。たとえば、借入条件を変更する場合には「オーバーローン融資期間30年金利2.5%」。
■住所
物件の住所を入力。
■築年数
「西暦」「平成」「昭和」のいずれかを選択して入力。減価償却費の計算に影響する。
■種類
「住居」「店舗(飲食系)」「店舗(飲食系以外)」「事務所」のいずれかを選択。減価償却費の計算に影響する。
■建物構造
「木造」「鉄骨(S造)」「鉄筋コンクリート(RC造)・「鉄筋鉄骨コンクリート(SRC造)」のいずれかを選択。減価償却費の計算に影響する。
■土地面積
一棟物件の場合は土地面積を、区分所有の場合は土地持ち分を入力。担保余力の計算に影響する。
■建物面積
建物の延べ床面積を入力。担保余力の計算に影響する。
■路線価
「全国地価マップ」等で調べた路線価を入力する。角地の場合は高い方の路線価を適用し、「角地です」にチェックを入れると10%増しとなる。担保余力の計算に影響する。
【物件取得コスト】
■購入価格
購入予定価格を入力する。
■内訳:建物価格
建物価格を入力する。不明な場合は空欄にすると、購入価格の30%が自動設定される。減価償却費の計算に影響する。
■敷金・保証金
中古のオーナーチェンジ物件で敷金・保証金の引継ぎがある場合は入力する。購入価格と相殺する場合には「購入費用と相殺」にチェック。
■諸経費
仲介手数料、不動産取得税などの諸経費がわかっている場合には入力する。不明な場合は空欄にすると、購入価格の7%が自動設定される。
■改装費
物件購入時にリフォームや大規模修繕が必要な場合には、費用を入力する。購入価格に上乗せされる。
【収入】
■月額賃料収入(満室時)
毎月の満室想定の家賃収入を入力する。
【維持費】
■管理手数料
物件の管理を不動産管理会社に委託する場合には、管理手数料を入力。相場は家賃の5%前後。
■月額固定費
区分所有の場合には、管理費・修繕積立金の合計金額を入力する。
■固定資産税(前年度)
前年度に支払った固定資産税額を入力する。不明な場合は空欄にすると、購入価格の0.7%が自動設定される。
■毎月のその他支出1・2
清掃費、エレベーター維持費、共用部分光熱費など毎月発生する費用を入力する。
【借入】
■借入形式
「元利均等返済」「元金均等返済」のいずれかを選択して入力する。
■借入額
銀行からのローン金額を入力する。
■金利
銀行からの借入金利を入力する。
■返済年数
銀行への返済年数を入力する。
【税金】
「個人所得」「法人所得」「固定税率」のいずれかを選択。「個人所得」の場合は年間所得の金額を、「固定税率」の場合は税率を入力。
【諸条件】
■金利変動
金利上昇の影響を試算する場合に入力する。
■空室率
近隣の空室率を入力する。
■家賃変動
家賃変動(主に下落)の影響を試算する場合に入力する。
■表示単位
「万円」「千円」のいずれかを選択する。
■一般公開
「公開する」「非公開」を選択する。
【出口戦略】
■売却時キャップレート
その地域の平均利回りを入力する。売却時のキャッシュフローに影響する。
最後に「登録する」をクリックすると収支計算が実行される。
収支計算表の見方とは?
「物件概要」「収入計画」「投資内容」「担保力」「資金調達」「諸条件」「計画表」が表示される。
「計画表」では35年間の収支が計算される。表示内容を一つずつ解説していく。
■2.不動産収入
家賃収入の推移。家賃変動を選択した場合には、変化していく。
■3.ランニングコスト
管理費、月額固定費、固定資産税、毎月の支出などが表示される。
■4.減価償却費
「建物構造」「築年数」「建物価格」に応じて減価償却費が計算される。
■5.支払利息
銀行返済のうち、利息部分だけが計算され表示される。
■6.納税
納税額(所得税と住民税の合計)が計算され表示される。
■7.税引後利益
納税後の利益。確定申告の決算上の利益であって、キャッシュフローとは異なる。
■8.返済元金
銀行返済のうち、元金部分だけが計算され表示される。
■9.インカムゲイン累計
キャッシュフロー収入の累計額。「税引後利益」 - 「返済元金」 + 「原価償却費」。
■10.借入残高
銀行ローンの残高が表示される。
■11.残債利回り
「家賃収入」 ÷ 「ローン残高」。数値が高ければ高いほど、ローン残債を上回る金額で売却しやすいため、出口戦略が楽になる。
■12.ROI
単年度のROIが表示される。物件購入時に支払った自己資金に対して、どの程度のキャッシュフローがあるのかを示す。
■13.自己資金回収比率
12.ROIの累計額。100%になった時点で自己資金の回収が終わったことになる。
■14.自己資金推移
13.自己資金回収比率を金額で表したもの。オーバーローンで自己資金を入れてない場合は0となる。
■15.売却時キャピタルゲイン
各年度で物件を売却した場合、売却価格のうち、どのくらいの金額が手元に残るかを表示。「売却価格」 - 「仲介手数料」 - 「キャピタルゲイン課税」 - 「ローン残高」。
■16.売却時キャッシュフロー総額
「9.インカムゲイン累計」と「15.売却時キャピタルゲイン」の合計。物件保有期間中の合計の利益額。
■17.売却時ROI
「16.売却時キャッシュフロー総額」を「自己資金」で割ったもの。自己資金がどれくらい増えたのかがわかる。
■18.年平均リターン
「17.売却時ROI」を「保有年数」で割ったもの。1年間あたりの平均リターンがわかる。
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「複製」「入力画面」「試算表」の使い方は?
一旦シミュレーションしたものは、「試算表」をクリックすることで収支計算を見ることができる。
また「入力画面」をクリックすれば入力した内容を修正することができる。
「複製」をクリックすれば、同じ物件を複数の条件で比較することができる。例えば銀行からの借入条件を変更した場合の収支計算への影響や、どこまで指値をして物件価格を下げれば購入検討に値するのかを見ることができる。
「マネログ」の使い方をわかりやすく解説まとめ
「マネログ」はここまで機能が充実しているが、無料で利用できるので非常にお得なツールとなっている。
過去のデータも残すことができるので、もし不動産の収支計算ツールがない人は、使ってみると良いだろう。
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