2018年不動産業界をにぎわせているスルガ銀行の不正融資問題。
事の発端はスマートデイズが運営するシェアハウス「かぼちゃの馬車」が経営破綻したことによって問題が明るみになり、大問題に発展した。
ここではスマートデイズの「かぼちゃの馬車」問題について整理していこうと思う。
目次
「かぼちゃの馬車」のスキームとは。スマートデイズとスルガ銀行が共同で作り上げた。
「かぼちゃの馬車」問題のスキームを以下の通りまとめた。
もともとはスマートデイズとスルガ銀行が共同で作り上げたスキームで、セミナーを開催して投資家を集めている。
実際の販売は販売代理店に委託しており、物件の契約から融資の申し込みまでを販売代理店が行っていた。
もちろん融資申し込みの際には2重契約で契約書を偽造し、買主であるオーナーの預金残高は改ざん・水増しされていた。
それでオーナーはスルガ銀行から不動産価格と諸経費を含めたオーバーローンを引き出していた。
スルガ銀行は融資の条件として定期預金やフリーローン契約を求めており、その定期預金の分についてもオーバーローンから充当されていたようだ。
「かぼちゃの馬車」が完成すると、運営はスマートデイズが行っていき、オーナーはサブリース契約で家賃収入が保証されていた。
契約通りに家賃が振り込まれればスルガ銀行へローンの返済を行っても、一定の金額が手元に残るはずであったが、スマートデイズは一夫的に家賃の減額、家賃支払いの停止をオーナーに通知し、オーナーは銀行返済ができなくなって、大きな問題へと発展した。
スルガ銀行の発表によると、2018年3月末時点でシェアハウス向け融資は1,258名に対して、合計2,035億円の融資が実行されている。
この数字はスマートデイズにかかわるものだけではないが、大半がスマートデイズだと考えられている。
そしてこの「かぼちゃの馬車」問題でほとんど報道されることはないのだが、スマートデイズの裏には実質的に経営を行っていた黒幕・佐藤太治の存在があった。
佐藤太治は販売代理店および建築会社からキックバックを受けていたとみられている。
⇒【銀行融資二重契約オーバーローンについてわかりやすく解説】
スマートデイズ設立から「かぼちゃの馬車」問題までの経緯
それではスマートデイズの設立からの「かぼちゃの馬車」問題までの経緯をみていこうと思う。
スマートデイズという名前で報道され、多くの人が認識していると思うが、実は社名をスマートデイズに変更したのは2017年10月とわりと最近なのである。
それまではスマートライフという会社名で営業を行っていた。
会社名は変更したが、実態としては何ら変わりはなく、シェアハウス「かぼちゃの馬車」の販売を行っていた。
スマートデイズに転機が訪れたのは社名変更と同じタイミングの2017年10月、スルガ銀行がシェアハウス向けの融資をストップした時だった。
「かぼちゃの馬車」は利回りを高くするために、相場より高い家賃が設定されていた。
もちろんその家賃では埋まるはずもなく、実態の入居率は50%を下回っており、オーナーに対してサブリース賃料の支払いを行うためには、新規オーナーへの販売利益で補填するという自転車操業を行っていた。
だが新規販売がストップしたことによって、スマートデイズの「かぼちゃの馬車」は破綻した。
⇒【サラリーマンが不動産物件を探すためのおすすめの方法とは?】
スルガ銀行不正融資問題の報道の推移。
最後にスルガ銀行の不正融資についての報道の推移をみていこうと思う。
事の発端はやはり2018年1月のスマートデイズがサブリース賃料支払い停止をオーナーに通知したタイミング。
融資を行っていたのはほとんどがスルガ銀行、しかも横浜東口支店に偏っていたことから、スルガ銀行の何らかの関与が疑われるようになった。
それからの調査でスルガ銀行の行員が書類の改ざんを把握しており、また場合によっては改ざんを不動産業者に指示しているケースもあることが明かになった。
そして当初はスマートデイズの「かぼちゃの馬車」に限定されていたが、その後の調査でその他のシェアハウスやシェアハウス以外の不動産融資においても不正融資があったことが確認されている。
2018年9月7日には、第三者員会が調査結果を公表することとなっており、その発表に注目が集まる。
内容次第ではスルガ銀行は貸倒引当金の積み立てを余儀なくされ、2019年3月期決算は赤字転落、最悪のケースは債務超過に陥る可能性もある。
【かぼちゃの馬車】スルガ銀行の融資でスマートデイズがサブリース・家賃保証するスキームをわかりやすく解説まとめ
「かぼちゃの馬車」の問題はスマートデイズとスルガ銀行が作り上げたスキームであり、多くの投資家が被害にあっている。
本来であれば被害者が訴えるべきはスマートデイズなのであるが、スマートデイズはすでに倒産していることから、スルガ銀行に対して交渉を行っていくしかない状況となっている。
半分以上のオーナーはスルガ銀行と金利の減額に合意したと報道されており、ひとまずは所有している物件の空室を埋めていくことに専念するしかなさそうだ。
今後第三者委員会の調査報告、金融庁の行政処分とまだまだ注目すべき材料が多く、問題が解決するまでには時間を要しそうだ。
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