スマートデイズが運営するシャアハウス「かぼちゃの馬車」が経営破綻したことによって明らかになった、スルガ銀行の不正融資問題。
スルガ銀行の不正融資問題は現在第三者委員会によって調査がされているが、不正融資額は1兆円規模になるとも報道されている。
たがスルガ銀行ばかりに焦点が当たっているが、スルガ銀行以外でも不正融資が行われていたケースが、不動産業者の証言で明らかになっている。
ここでは不正融資の方法、スルガ銀行以外の不正融資についてみていきたいと思う。
目次
オーバーローンを引き出すための「二重売買契約」「減額合意書」の詳細とは?
銀行は建前以上、フルローンと呼ばれる不動産価格までの融資を出すことはなく、頭金を1割から2割要求するのが一般的となっている。
しかしながら昨今の不動産投資では、フルローンだけではなく、不動産売買に付随する諸経費までも銀行融資でまかなうオーバーローンが横行していた。
では頭金を要求する銀行に対して、どのように不動産業者はオーバーローンを通していたのだろうか?
その方法は主に2つある。
1つ目は「二重売買契約」という形で2種類の売買契約書を作成する方法。たとえば本来1億円の不動産物件の契約であれば、1億円の売買契約書と銀行提出用の1億2,000万円の売買契約書の2種類を締結する。
銀行は1億2,000万円の契約書をベースに90%となる1億800万円の融資を行えば、一般的に物件価格の7%程度である諸経費をまかなうことができるのである。
そしてもう1つは「減額合意書」を締結する方法。1億2,000万円の売買契約書を作成し、それを銀行に提出。
銀行にわからないように売主と買主の間で物件価格を1億円とする「減額合意書」を締結するのである。
スルガ銀行だけでなくメガバンクや他の地方銀行でも書類改ざんで融資が承認されたケースも。
これらの手口はおもにスルガ銀行で行われていたが、不動産業者によればスルガ銀行以外でも行われていたという。
スルガ銀行の場合には行員も不正融資の実態を把握しており、場合によっては書類の改ざんを指示していたケースもあったから驚きではあるが、他の銀行でも同じようなやり方で90%以上の確率で融資が承認されたとようだ。
中には不動産投資にあまり積極的ではないメガバンクでも融資が下りたケースがあるようだ。
買主の預金残高が少ない場合には、ネットバンキングの画面をスクリーンショットで撮影し、画像処理ソフトを使えば簡単に預金残高を改ざん・水増しすることはできたという。
ただ次第にスルガ銀行の不正融資問題が明るみになると、銀行の融資審査も厳しくなっていって、通帳の原本提出を求めるケースが増えていったようだ。
スルガ銀行不正融資問題で多くの不動産業者は区分所有マンションの営業に注力。
スルガ銀行の不正融資問題が明かになったことで、銀行の融資は一気に引き締まり、多くの不動産業者が苦しい状況にあるという。
このような書類の改ざんは上場していない不動産業者はほぼ全てが行っていたようで、最近では上場企業であるTATERUも不正を行っていたことが明かになっている。
銀行融資引き締めの影響を受けて、多くの不動産業者が倒産・廃業となり、今は一棟マンション・アパートから区分所有マンションの方に流れているという。
一棟マンション・アパートでは同様のスキームはできなくなっているが、区分所有マンションであれば、銀行によっては同じスキームがまだ使える状況にあるという。
悪質な不動産業者は今後も形を変えて、投資家から利益を得るべく活動を続けていくのだろう。
不正融資はスルガ銀行だけじゃないまとめ
二重売買契約や銀行通帳の改ざん・水増しは、上場企業を含めてほとんどの不動産業者が行っていた可能性が高そうだ。
そしてそれに対して融資をしていたのはスルガ銀行だけでなく、メガバンクや他の地方銀行も含まれていたというから驚きである。
現在は融資の引き締めによって、多くの不動産業者が区分所有マンションの営業に力を入れているという。
どんな状況でも悪質な不動産業者はなくならないので、投資家自身がしっかりと知識を付けて、だまされないようにしなければならない。
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