スルガ銀行の不正融資問題に続いて、東証一部上場企業であるTATERUが顧客の預金残高を改ざん・水増しした問題が話題となっている。
TATERUが主に利用していたのが西京銀行であり、スマートデイズのシャアハウス「かぼちゃの馬車」とスルガ銀行の関係のように、2社で協力してビジネスと拡大していた可能性が指摘されている。
ここではTATERUと西京銀行の関係性についてみていきたいと思う。
目次
TATERU、第三種優先株で西京銀行に出資。関係が近かった理由が明かに。
西京銀行は2017年3月に第三種優先株式の発行を行っており、インベスターズクラウド(TATERUの前身の会社で2018年4月1日に社名TATERUに変更)が百万株の出資を行って株主となっている。
引用:2018年6月1日 西京銀行 第110期定時株主総会招集ご通知
第三種優先株式の中では、朝日生命保険相互会社、日本国土開発株式会社とならんで18.18%を出資する最大の株主となっている。
普通株式ではないため西京銀行の議決権などは保有していないが、優先株式として西京銀行から優遇された配当を受けているはずである。
TATERUはアパートを販売することによって巨額の利益を得るだけでなく、西京銀行から融資を引っ張ることで、西京銀行の利益から配当を得るというビジネスモデルになっている。
TATERUが西京銀行を積極的に利用していた理由は、ここにありそうだ。
【追記】
西京銀行の2018年3月期決算資料によれば、TATERUが保有する第三種優先株式の期末配当は1株当たり25円となっているので、TATERUは2,500万円の配当を受けていたことになる。
引用:西京銀行 平成30年3月期 決算短信
西京銀行、TATERUと不動産投資型クラウドファンディングの共同事業化を検討へ。
TATERUと西京銀行の関係はこれだけではなかった。
西行銀行は2018年3月27日のニュースリリースにおいて、インベスターズクラウド(TATERUの前身)とその子会社TATERU Fundingと不動産投資型クラウドファンディングの共同事業化の業務提携検討を発表している。
TATERU Fundingは1口1万円からできる不動産投資型クラウドファンディングを提供している。
予定分配率をみると3%から5%となっており、投資の利回りとしては魅力的な商品かもしれないが、不動産投資という観点から、銀行借り入れによるレバレッジも利用することができず、あまり魅力的ではないだろう。
業務提携の詳細内容については明かになっていないが、物件の30%はTATERUが劣後出資者になるとしているため、この部分の融資を西京銀行が行うという事だろうか。
記事執筆時点のTATERU Fundingの累計募集金額は38億円となっており、西京銀行との業務提携、融資を積極的に活用することによって、TATERU Fundingのビジネスを急拡大することを狙っていたと思われる。
西京銀行の融資金利は投資家に出している2.55%より低くTATERUにとってはメリットが大きく、また西行銀行も東証一部上場企業のTATERUに対する融資という事もあって低金利での融資であっても安全性が高いというメリットがある。
もちろんTATERUは西京銀行の優先株を保有しているので、西京銀行の利益から配当も受け取ることができるのである。
西京銀行の念書とは?インベスターズクラウド(TATERU)を管理会社として利用することが条件に。
西京銀行は融資実行時に、TATERUのアパート購入者に念書にサインをさせていたことが明かになっている。
念書には驚くべき内容が記載されていたので、その部分を抜粋する。
本ローンは、株式会社インベスターズクラウド(TATERUの前身)が提供する管理委託契約を利用することを条件としているため、本ローン完済まで管理委託契約の解除を行いません。
引用:西京銀行の念書
TATERUはアパートを販売することによって、不動産管理で毎月安定した収入を得られることになっていたのである。
不動産管理手数料の相場は5%前後であり、西京銀行の融資期間は35年間であるため、35年にもわたって5%の安定収入を得ることができる契約となっている。
そしておそらくTATERUは空室募集の際にはオーナーから広告料を受け取り、原状回復のリフォームの際には相場より高い料金を請求して、そこでも利益を上げるつもりだったのだろう。
TATERU・西京銀行はスマートデイズ「かぼちゃの馬車」とスルガ銀行の関係と同じか?
TATERUと西京銀行の関係がいかに近かったかがわかり、融資を積極的に利用していた理由を理解することが理解できただろう。
日経新聞で報道されたTATERUの預金残高改ざん・水増しの事例では、最終的に融資契約が無効となり、TATERUが手付金の倍額となる100万円を支払って手付解除となったようだが、TATERUと西京銀行が結託してアパート販売を進めていた可能性も否定できない。
西京銀行が書類改ざんの事実を把握していたのであれば、スマートデイズ「かぼちゃの馬車」とスルガ銀行の関係と全く同じであり、今後不正融資問題として大きく取り上げられる可能性がある。
金融庁は地方銀行の不動産向け融資の実態を調査する方針を示しており、真実が明かになってくる可能性はありそうだ。
またTATERUだけでなく、他の大手不動産会社も特定の銀行と組んで、同様の手口を行っている可能性もありそうで、今後も不動産業界の動向からは目が離せない。
西京銀行とTATERU(タテル)の関係性まとめ
西京銀行とTATERUは株主であり、共同事業を検討しているパートナーであることが判明した。
2社が協力して、不正を行いながらビジネスを拡大していた可能性は高そうだ。
地方銀行全体の問題として、金利低下や人口減少によって貸出先が減少しており、経営難に苦しんでいる。そんな中で上場企業のTATERUとの取り組みは魅力的に映ったのだろう。
TATERUも業績を拡大していくためには、融資を取り付けて不動産を販売していくことが必要であるため、2社の思惑がうまく一致したと思われる。
今後2社がどのような不正を行っていたのか、暴かれていくことになるだろう。
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