「サブリースで30年間家賃保証」
「銀行返済後も毎月一定の金額が手元に残る」
スマートデイズが運営する女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」で、多くのサラリーマン不動産投資家がこのような謳い文句にだまされてしまい、銀行への返済に窮していることは知っているだろう。
だまされてしまった投資家は気の毒ではあるが、不動産賃貸経営の実態を理解せずに、不動産業者に言われるとおりに契約をしてしまったことが、失敗の原因である。
少しでも不動産投資を勉強すれば、30年間家賃を保証するサブリース契約がいかに無理なことをやっているのかというのが理解できたはずだ。
ここではサブリース・家賃保証の罠や落とし穴についてみていきたいと思う。
サブリース契約は不動産業者に有利な契約
不動産投資の世界では、不動産業者とサラリーマン投資家を比較した場合に、サラリーマン投資家が弱者であることは明らかであると思うが、それがサブリース契約となると立場が逆転してしまう。
日本は居住権を重視しており、入居者が不利益を被らないように入居者に有利なように法律ができている。
サブリース契約においては、サブリースを提供する不動産業者が入居者の立場になるため、法律的な解釈から言えば不動産業者が弱者となってしまう。
そのため、日本のサブリース・家賃保証契約では不動産業者に有利なようにできており、「30年間家賃保証」という契約内容になったとしても、実際にはその後相場に応じて家賃を見直すことが可能となるのである。
新築不動産の家賃下落率は一番高い
新築の不動産を賃貸に出す場合には、新築プレミアムが乗るため家賃は相場よりも割高になる。
しかしながら一回退去が発生してしまうと、家賃は相場並みに合わせざるを得ないために、2人目以降の入居者の家賃は大きく下落してしまうという事が珍しくない。
これが家賃の下落率は新築から築5年程度あたりまでが一番高い理由である。
サブリースを提供している不動産業者は当然ながら新築プレミアムを理解しているため、最初の入居者がいる間は合意した金額で家賃保証をすることは問題ないが、退去してしまうと家賃相場の下落を理由に、家賃保証の金額を引き下げることとなる。
「かぼちゃの馬車」のケースでは運営するスマートデイズが倒産してしまったが、もし倒産せずに今後も運営を続けていたとしても、今後数年で家賃保証金額の見直しを行って、銀行ローンの返済は給与所得から補填しなければならないサラリーマン投資家が続出したことだろう。
「かぼちゃの馬車」はスマートデイズの倒産と最悪の結果に終わってしまったが、最初の段階で家賃保証自体は、当初の計画とは異なるものになっていたことは明らかである。
サブリース契約は利益相反を起こす
不動産業者にとってサブリース契約は非常に魅力的なものであることが多い。
これまで見てきたように相場状況に応じて家賃を減額することができるし、契約内容にもよって異なるが、退去後の原状回復費用などを割高にオーナーに請求することで利益を上げることもできる。
サブリースを提供する不動産業者にとっては、退去が出てもらった方が家賃保証金額の引き下げ、原状回復費用の過大請求と利益を上げるチャンスがあり、オーナーと利益相反を起こす関係となっている。
このような現実や契約内容をしっかりと理解していれば、「30年間家賃保証」というような詐欺的スキームに引っかかってしまう人はもっと少なくなったことだろう。
最終的には投資家の自己責任と言わざるを得ないが、不動産投資を文字通りに何もしなくても良い不労所得と勘違いをして、他人任せにしてしまった結果がこういう形になってしまったのである。
このような人たちは不動産投資ではなくても、他の投資商品でもだまされてしまう可能性が高かっただろう。
まとめ
日本は入居者保護のために居住権を重視しているが、サブリース契約の場合には不動産業者が法律上有利な立場となってしまう。
契約内容次第ではあるが、日本の現在の法律では、投資家にとって有利な条件でのサブリース契約を締結することは難しいだろう。
今後も同様の手口でだます悪徳業者は存在していく可能性があるので、他人任せにせずにしっかりと勉強をしていかないと、詐欺に巻き込まれてしまう可能性があるので要注意。
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