国土交通省が発表した2018年7月1日時点の全国平均の基準地価は、前年比+0.1%となり27年振りの上昇となった。
しかしながら、基準地価が上昇したからといって、投資用不動産価格も同様に上昇するという可能性は低いだろう。
多くの観光客が集まる一等地の商業地区については地価が上昇傾向であるものの、サラリーマンなどが対象とする住宅などの投資用不動産は、スルガ銀行の不正融資問題によって、銀行融資が引き締まり、今後は価格が下落していくことが予想される。
一等地の商業地区は上昇、それ以外は下落という形で不動産価格も二極化が進んでいく可能性が高そうだ。
不動産価格に影響を与えるのは金融機関の融資
不動産価格に最も影響を与えるのは、金融機関の融資姿勢であることは、バブル期をみれば明らかだろう。
バブルの時には金融機関は不動産を担保にしながら融資を積極的に出していたため、不動産売買が活発になり、かつてないほどに不動産価格が暴騰した。
不動産を買えば銀行から融資を受けることもできるし、売れば高値で販売できるという状況であったため、実際に需要以上に不動産売買が活発となっていった。
しかしながら、一旦バブルが崩壊すると、金融機関は不動産に対して融資を絞ったため、日本の不動産価格は長い間低迷することとなった。
ところがここ数年はスルガ銀行を中心として、サラリーマン向けの不動産融資が活発となって事で、多くのサラリーマンが不動産投資に参入し、物件価格の高騰を招いた形となった。
だがスルガ銀行バブルも長くは続かず、不正融資というずさんな体制が明かとなって、投資用不動産市場は大きな曲がり角を迎えている。
商業地の地価は訪日外国人増加の影響で上昇傾向
日本は東京オリンピックを2020年に控え、訪日外国人客は毎年増加している。
日本の人口自体は減少に転じているものの、訪日外国人客の増加や景気の緩やかな回復によって消費全体は上向いており、これが一等地にある商業地区の地価が上昇に転じている理由と考えることができるだろう。
国土交通省が発表した基準地価では、商業地は全国平均で1.1%の上昇と住宅地・工業地よりも強い上昇となっている。
訪日外国人増加の恩恵を受けている京都での上昇が目立ち、それ以外でも札幌、仙台、広島、福岡の主要都市でも商業地の上昇は顕著となっている。
東京オリンピックの2020年まではこの傾向が続く可能性が高いだろう。
投資用不動産価格も二極化へ
投資用不動産市場では、徐々に価格が下落していることを実感している投資家や不動産業者は多いことだろう。
特に下落幅が大きいのは、地方都市にある木造や軽量鉄骨の物件で、耐用年数を超えたものに関しては、融資をする金融機関がいなく、買い手がほぼ付かない状況となっている。
スルガ銀行の不正融資問題によって特に影響を受けるのは、地方都市・木造か軽量鉄骨という物件になりそうだ。
多くの投資家が注目している住宅用の不動産でも、東京都を中心とした主要都市のRC物件などは、価格の下落はあまりみられていない。
金融機関も不動産向けの融資を完全にストップしたわけではなく、資産があって投資経験や実績が豊富な投資家に対しては融資を行っていくので、立地が良い優良な物件の価格は下落しない可能性が高そうだ。
投資用不動産市場でも買い手が付く物件と付かない物件の二極化が進んでいきそうだ。
まとめ
基準地価の上昇は不動産市場にとっては良いニュースではあるものの、商業地区が上昇をけん引しており、多くの投資家が注目している住宅用不動産にはそのまま当てはまらないだろう。
スルガ銀行の不正融資問題によって、金融機関の不動産向け融資は一気に引き締まっており、今までは右肩上がりだった市場は大きく変わっていきそうである。
地方の木造や軽量鉄骨物件と都内のRC物件では今後の値動きは全然違うものになっていくことだろう。
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