サラリーマンの場合は所得税や住民税は給与から源泉徴収されるため、税金について意識はしたことがない人がほとんどだと思うが、不動産投資をはじめると確定申告が必要になってくる。
不動産所得は雑所得というものに該当し、サラリーマンの給与所得と「損益通算」をして所得税率が決まり、これを総合課税と呼ぶ。
ここではサラリーマン不動産投資家の「損益通算」についてみていきたいと思う。
目次
不動産所得と給与所得の損益通算とは
サラリーマンが不動産投資をはじめた場合、給与所得と不動産所得は合算されて所得税が算出される。
そのため、不動産所得が黒字であれば累進課税の高い税率が適用されることになるし、赤字であれば給与所得から源泉徴収されている所得税・住民税の還付を受けることが可能となるのである。
不動産所得の納税を行う場合も還付を受ける場合も、毎年3月頃に確定申告をする必要がある。
名前くらいは聞いたことがある人はほとんどだと思うが、サラリーマンで確定申告をやったことがあるという人はほとんどいないだろう。
不動産投資を行う場合には必ず確定申告を行わなければならないので、税理士にお願いするという方法もあるが、もちろん費用は掛かってくる。
自分でできないことはないが、不動産の確定申告は複雑であるため、規模がそれなりにある場合は税理士にお願いした方が良いだろう。
不動産投資は節税になるは本当か?
「不動産投資を行えば税金の還付が受けられるため節税対策になる」というのを聞いたことがある人も多いことだろう。
不動産業者は節税を最大のメリットとして購入をすすめることが良くある。
不動産物件を購入した初年度は不動産取得税や登録免許税といった一度しか発生しない高額な費用があるため、不動産所得は赤字となり、確定申告で損益通算を行うことで給与所得の所得税と住民税の還付を受けることができるだろう。
しかしながら、2年目以降はこれらの費用が発生しないため、健全に不動産賃貸経営を行っていれば、通常は不動産所得が黒字となって納税することになる。
ところが割高な不動産物件や賃貸需要が無い不動産物件を購入してしまうと、不動産所得が赤字となって引き続き所得税と住民税の還付を受けられる可能性がある。
だがよく考えてみてほしいのだが、不動産所得が赤字という事は賃貸経営がうまくいっていないという事であり、損をしてその一部が税金として還付されているだけなのである。
したがって節税を前面に出してくるような不動産物件は本来買うべきではないものが多い。
もちろんそのような不動産物件は銀行から評価されずにその後融資を受けるのが難しくなる。
不動産所得が赤字でもキャッシュフローが出ていれば破綻しない
不動産投資の税金はかなりややこしくて初心者が理解するのはなかなか難しいのだが、税務上の赤字=キャッシュフローが赤字とは限らない。
なぜなら、不動産には減価償却費という現金の支出を伴わない経費が存在するからである。
つまり家賃収入で手元に現金は増えているのだが、税務上は赤字であるから確定申告で損益通算を行えば所得税と住民税を還付できるという場合が存在するのである。
銀行からの評価などを考えるとこの状況も避けたいところではあるが、まだキャッシュフローがプラスであるため、資金繰りが回らずに銀行返済ができないという最悪の事態は避けることができるだろう。
不動産所得が赤字でキャッシュフローがマイナスだと破綻リスクあり
一番避けなければならないのは、不動産所得も赤字でキャッシュフローもマイナスのケース。
所得税と住民税の還付で一部は補填することはできるが、それ以上にキャッシュフローのマイナスが大きければ、給与から補填して銀行返済を行わなければならず、金額次第では返済ができなくなって破綻してしまうことがあるので要注意だ。
不動産業者がしつこく営業してくる物件の中には、このようなものが多く含まれている。
彼らのセールストークは、節税で税金の還付も受けられるし、月々2万円の負担(キャッシュフローのマイナス)で銀行ローン返済後には資産が手に入るというものである。
新築で買ったとしてもローン返済が終了するのは30年か35年後であり、残念ながら築35年のワンルームマンションには大した価値はなく、それまでに失ったキャッシュフローの方が大きくなってしまうだろう。
これがワンルームマンションであれば月々数万円のため、給与から補填していくことは可能であるが、一棟ものであればその金額はもっと大きくなってしまい、破綻のリスクが高くなる。
いずれにせよ他にもっと良い物件は必ずあるので、このような物件は買わないようにしてほしい。
まとめ
不動産所得はサラリーマンの給与所得と合算(損益通算)することができるが、物件を購入した初年度を除いては黒字となり、納税が発生するのが普通である。
2年目以降も不動産所得が赤字で、損益通算で所得税と住民税を還付するような物件は、購入すべきではない。
不動産の税金は複雑であるため、業者は知らないことを利用して強引に物件を販売しようとしてくるので、要注意。
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