「金融ADR」とは、金融機関と債務者間のトラブルを、裁判ではなく直接の解決をはかる制度。
解決にあたっては行政が指定・監督する紛争解決機関が和解案の提示を行う。
スルガ銀行はシェアハウス向け不正融資が原因で、2018年10月5日に金融庁から行政処分を受けたが、その中には「金融ADR」を活用して元本の一部カットを検討することが記載されている。
ここでは「金融ADR」についてみていきたいと思う。
⇒【スルガ銀行シェアハウス向け不正融資とは?】
⇒【「かぼちゃの馬車」問題を解説】
「金融ADR」の詳細とは?
「ADR」とはAlternative Dispute Resolutionの頭文字をとった言葉で、裁判以外での紛争解決手段を意味する。
金融庁は「金融ADR制度の趣旨」を以下のように定めている。
■紛争解決機関を行政庁が指定・監督し、その中立性・公平性を確保
■利用者から紛争解決の申立てが行われた場合には、金融機関に紛争解決手続の利用や和解案の尊重等を求め、紛争解決の実効性を確保
■金融分野に知見を有する者が紛争解決委員として紛争解決に当たることにより、金融商品・サービスに関する専門性を確保引用:金融庁ホームページ
⇒【元FC東京・平山選手「かぼちゃの馬車」被害に】
⇒【スルガ銀行シェアハウス向け不正融資まとめ】
金融庁、スルガ銀行を行政処分。命令の内容は?
金融庁は2018年10月5日にスルガ銀行に対して行政処分を行った。
命令の内容としてビジネスに直結するものとしては、平成30年10月12日(金)から平成4月12日(金)までの間は、新規の投資用不動産融資が実行できない。
命令の内容は以下の通り。
引用:金融庁ホームページ
⇒【スマートデイズ黒幕・佐藤太治とは】
⇒【不正融資はスルガ銀行だけじゃない?】
スルガ銀行「金融ADR」を活用して元本の一部カットに応じるか?
命令の内容(4)の⑥に記載されているように、スルガ銀行は「金融ADR」を活用して融資元本の一部カットなどを検討していくことになる。
2018年9月7日に第三者委員会による調査報告書が発表された後、有国三知男社長の会見でも「金融ADR」活用にいて言及があり、今後スルガ銀行がどのように交渉に応じていくのか注目だ。
不正融資発覚のきっかけとなったスマートデイズ社が運営する女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナーは、サブリース契約打ち切りによってスルガ銀行への返済が難しい状況となっており、破綻しないためには元本の引き下げが必要となってくる。
既に個別には金利の引き下げや元本支払いの据置きなどの措置を取っているようだが、元本のカットに応じたケースは聞いたことがない。
またスルガ銀行から融資を受けている不動産投資家にとっても、今回の行政処分の内容は金利引き下げ交渉のチャンスとなるかもしれない。
⇒【2018年8月スルガ銀行金利交渉、預金解約】
⇒【2018年10月スルガ銀行金利交渉成功例】
まとめ
「金融ADR」についてまとめると、金融機関と債務者間のトラブルを裁判以外の方法で解決する制度のこと。
スルガ銀行は金融庁から行政処分を受け、その内容には「金融ADR」を活用して元本のカットを検討していくことが記載されている。
今までスルガ銀行がは金利引き下げや元本返済の据え置きには応じてきたが、元本カットに応じたことはなく、今後の対応に注目が集まる。
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