りそな銀行は「1法人1物件スキーム」を行っていることが発覚した不動産オーナーに対して、一括返済か金利6%以上への引き上げを要求しているようで、不動産投資家の間で話題となっている。
ここではその詳細についてみていきたいと思う。
「1法人1物件スキーム」とは
「1法人1物件スキーム」は2019年に大きな問題となると噂されている。物件を購入するごとに法人を設立し、代表者が連帯保証人になるスキームであるが、法人への連帯保証は個人の信用情報にのってこないため、隠ぺいすることが可能となっている。
既存の法人の存在を隠し、銀行を欺くことによって上限なく融資を引き出すことが可能となり、「1法人1物件スキーム」で多額の借り入れをして不動産を購入することができた時代があったのである。
「1法人1物件スキーム」が問題の理由
だがここにきて「1法人1物件スキーム」を問題視する金融機関が増えてきている。金融機関は虚偽の情報をベースとして融資を実行しているため、問題視するのは当たり前ではあるが、ここにきて金融庁が複数の金融機関の不動産向け融資の調査をはじめており、「1法人1物件スキーム」を放置しておけば、金融庁から目を付けられる可能性が高いという理由もある。
「1法人1物件スキーム」はなぜ発覚
「1法人1物件スキーム」は個人の信用情報からは見破ることができないが、「登記情報提供サービス」で物件の登記情報を確認すれば、わかってしまう。これまで金融機関はこのサービスを利用してこなかったが、ここにきて登記情報を確認するところが増えてきており、「1法人1物件スキーム」が発覚し始めている。
金融機関の対応
金融機関は「1法人1物件スキーム」が発覚した場合、「期限の利益喪失」で債務者に対してローンの一括返済を求めることができる。他の法人への連帯保証を隠して融資を受けていたとなると、重大な虚偽事項とみなされて、厳しい対応を取る銀行が出るのは当然である。
今後金融庁の調査が進んでいけば、ますます金融機関は「1法人1物件スキーム」に対して厳しい対応を取っていくことになるだろう。
りそな銀行の対応
りそな銀行は「1法人1物件スキーム」を行っていた投資家に対して、一括返済か金利6%以上への引き上げを要求しているとのことで、投資家にとっては厳しい状況となっている。
一括返済を行うためには不動産を売却する必要があるが、スルガ銀行の不正融資問題を受けて不動産価格は下落しており、ローン残債以上で売却することは困難な状況となっている。
また金利6%以上となるとキャッシュフローは赤字となってしまう。「1法人1物件スキーム」を活用して不動産を購入していた投資家は、表面利回り10%以下で購入している人が多いと見られている。
不動産はさらに下落へ
りそな銀行のように厳しい対応を取る金融機関が増えれば、不動産価格の下落に拍車をかけるだろう。ローン一括返済のために物件を売却する人は増えるし、金利引き上げでも採算が成り立たずに売りに出される物件が増えていくことだろう。
ただでさえ不動産価格が下落している中で、売り物件が増えれば下落のスピードは一段と早くなり、売り遅れた投資家の立場はどんどん苦しいものになっていく。
まとめ
「1法人1物件スキーム」は2019年に大きな問題となる可能性が高い。既にりそな銀行を中心とした一部の金融機関では一括返済か金利引き上げといった対応をはじめており、今後も追随する金融機関は増えていくことだろう。
不動産市況に大きな影響を与えるニュースであるため、引き続き注目していきたいと思う。
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