中古不動産販売を行う「ケリーバックス」が預金通帳の改ざんし、カーテンスキームを使って販売をしていたことが2019年2月5日放送の「ガイアの夜明け」で特集された。物件に対して融資行っていたのは例によって「スルガ銀行」で、両社で協力していた可能性もある。
ここでは「ガイアの夜明け」で放送された「ケリーバックス」の不動産販売についてみていきたいと思う。
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「ケリーバックス」から購入した投資家
「ガイアの夜明け」では「ケリーバックス」から中古マンションを購入した50代の投資家がインタビューに応じていた。購入したのは2年前で、価格は約8,000万円。不動産投資で働かなくても収入を得られる環境を作りたいと思った、と話している。
この不動産物件を販売した「ケリーバックス」は投資家に対して18部屋中15部屋が入居(入居率83%)と説明。投資家も入居している前提だったので中は確認することができなかったと話している。
購入した物件の実態
その不動産投資家が購入した物件は、購入直後に入居者の半分が大挙して8部屋しか入居していないと通知があったとのこと(入居率44%)。購入直後に一気にここまでの大量の退去があることは考えにくく、「ケリーバックス」はレントロールを偽造していた可能性が極めて高い。
このような手法を「カーテンスキーム」と呼び、2017年ころまではこの手法を使って不動産を販売していた悪質な業者は多かった。
スルガ銀行が融資
この物件に融資をしたのは、不正融資で有名となった「スルガ銀行」。不動産投資家の預金残高は約5万円であったが、「ケリーバックス」の社員が約5,000万円に改ざんして融資が通ったようだ。この改ざんに関して「スルガ銀行」行員が関与したかは定かではないが、その可能性は十分ありそうだ。
この物件の家賃収入は約15万円に対して「スルガ銀行」への返済は約45万円。これだけでもかなり苦しいが、給料次第ではなんとかで返済できなくもない金額。しかしながらこれ以外にも固定資産税、火災保険料、リフォーム費用などの費用が発生するため、破綻するのは時間の問題と言えるだろう。
スルガ銀行への交渉か自己破産
この不動産投資家ができることは「スルガ銀行」への金利交渉か自己破産しかなさそうだ。「スルガ銀行」の金利は首都圏の物件であれば3.5%、それ以外であれば4.5%が基本となる。すでに問題となったシェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナーに対しては金利の引き下げや元本支払いの停止など、個別事情に沿った対応をしているそうだ。また将来的には「スルガ銀行」が不正融資に関与したことがわかれば、元本の減額の可能性もあるかもしれない。
これができないとなると残念ながら自己破産するしかなさそうだ。
不動産投資を失敗した理由
この不動産投資家が失敗してしまったのは、「ケリーバックス」という悪質な業者につかまってしまったからではあるが、未然に防ぐことも可能だったと思う。
まず自己資金5万円で不動産投資をするのは危険すぎる。最低でも物件価格の20%程度の自己資金を用意するか、フルローン・オーバーローンを使うにしても返済比率が50%を超えないようにするべきである。
あとはカーテンスキームに気付くこともできたはずだ。実際に物件を見学に行った際に、レントロールを信じてはいけない。まず部屋に入居しているかは必ず確認する。カーテンは付いているか、明かりはついているか、水道・ガスメーターは回っているか、郵便物は届いているかを確認すれば、たいていの場合はわかるだろう。
また家賃相場についても適正であるかは、自分で調べなければ騙されてしまう可能性がある。
まとめ
「ケリーバックス」の悪質な手口が「ガイアの夜明け」で放送されたが、その中で元社員はほぼ100%預金残高の改ざんを行っていたことを明らかにしている。このような悪質な不動産業者がスルガ銀行を使って物件を割高に販売するケースは多く、今後も不動産賃貸経営や返済に行き詰る投資家が続出するかもしれない。
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