レオパレス21(以下レオパレス)は2019年2月7日に記者会見を開き、国内にある約39,000棟のアパート物件を調査中であるが、新たに1,324棟が建築基準法違反であることが発覚したと発表した。
建築基準法違反の物件には14,443人が入居しており、早急に改修が必要な641棟に住む7,782人は2019年3月末までの退去を依頼する事態となった。
レオパレスの一連の問題はテレビ東京「ガイアの夜明け」がスクープしたもので、2018年5月29日に放送された「マネーの魔力2」と2019年2月5日に放送された「マネーの魔力3」で特集されている。ここではレオパレスの問題についてみていきたいと思う。
目次
建築基準法違反の規模、悪質な隠ぺいか
約39,000棟のうち、建築基準法違反が疑われているのが約16,000棟で、会社ぐるみの悪質な隠ぺいの可能性が指摘されている。経営は状況を把握していなかったとしているが、そんなはずはないと思われ、万が一本当に上がっていなかったとすればガバナンス不全ということで、いずれにせよ問題である。
経営陣は経営責任として月額報酬の20%~30%を6カ月間返上することを発表しているが、経営陣の総退陣を求める事態に発展しそうだ。
界壁が無いことが明かに
レオパレスの物件には界壁(屋根裏の防火壁のこと。建築基準法で設置が義務付けられている)が全く存在しないか、不十分であることが「ガイアの夜明け」の独自調査で明らかになっている。
界壁が無いと防火上の問題で、火事の場合には他の部屋に燃え移る。また遮音構造でもないため、騒音の問題も発生する。
「ガイアの夜明け」の取材で界壁が全く存在しないことが発覚した岐阜市の物件では、2019年1月20日時点でレオパレスからの連絡はなく、謝罪は一切なし。界壁の調査をしたのかは不明という状況だった。
物件のオーナーは話し合いで解決できる問題ではないとの判断し、2018年8月にレオパレスに建物全体の改修費として2000万円の損害賠償を求める裁判を起こしている。
全棟調査進捗をねつ造?
レオパレスは全棟調査を実施することを2018年5月に発表しているが、その進捗状況についてもねつ造されている可能性がある。
レオパレスが作成し、レオパレスオーナー会に送付してきた「被害者の会進捗状況(174名248棟との記載あり)」によると、全棟調査発表から約8ヶ月が経過したにも関わらず、完全に調査が終わった物件は1棟もない。
一方でレオパレスがホームページ上で発表している進捗状況によれば、「ネイルシリーズ」の調査進捗率は99.01%と大きく食い違っている。
引用:レオパレスホームページ
不備があっても補修しないケース
「ガイアの夜明け」の取材で、界壁調査で問題が発覚しても、社内判定で覆ったケースが放送された。
2008年に建築したレオパレスのアパート4棟、当初から手すりの建付けなど、さまざまな不備があり、レオパレスに修理を依頼するも未対応。界壁調査も新しい物件なので必要なしとの連絡。
それでも界壁の調査を依頼すると、隙間ありとの不備が見つかり改修の対象に。界壁が無いと隙間があれば空気の流れとともに炎が広がり、延焼を防止するという本来の役目を果たさない。
しなしながら、オーナーに提出された社内判定書では問題なしと現場の調査報告が覆った形となった。その後現場調査の際に立ち合いをしていた市役所を訪れ、界壁に問題があるとの共通認識を確認し、レオパレスに見解を求める。
市役所が物件の立ち入り検査を行い、レオパレスも立ち合いの元、再度界壁調査が行われた。本来は防火性のある石こうボードが二重張りされているはずが、1枚で隙間があることが確認された。
最終的には不備が認められ、改修工事が行われることとなった。
引用:テレビ東京 ガイアの夜明け 2019年2月5日放送
経営陣が施工不良を認識した時期
2018年5月29日に行われたレオパレスの緊急会見で、界壁がないことを会社(経営)が知った時期について、田尻取締役は2018年3月27日と4月7日くらいと発言している。これについても「ガイアの夜明け」が独自取材で隠蔽している可能性を指摘。
2011年に賃貸借(サブリース)契約の解除通告をされレオパレスを提訴したオーナーがいた。そのオーナーが物件の価値を知るために建築士に鑑定を依頼すると、界壁が無いことが発覚。2012年に裁判で界壁が無い事実を明らかにしている。その後裁判所が和解を提案すると、レオパレスがこれを受けれ、和解金を支払っている。
これに対して田尻取締役は個別物件に関して、「現場は認識していたが、経営に報告が上がったのは2018年3月~4月」と回答。「裁判で和解したということは会社として把握していたのでは?」との指摘に対しては、「経営者レベルまでは報告は上がっていなかった」と発言。
「裁判で和解するのに経営陣が知らない問うことはあり得るのか?」との指摘には、「それはそれぞれの決裁基準がある」と回答している。
当初から施工不良を認識
「ガイアの夜明け」はレオパレス関係者から証言を得ることに成功し、「経営陣は嘘をついている」との証言を得た。100万円以上の支出に関しては社長決裁であり、経営が知らなかったということはあり得ないと。深山社長はこの事実を把握しており、早く和解しろという指示だったとのこと。
経営陣が目を通しているとされる2012年12月26日付けの裁判に関する内部資料では、当社(レオパレス)の一番の懸念は、現時点で「レオパレスが建築基準法違反」という記録が残ること。先方の和解枠組みを100%受諾する場合、裁判において建築基準法違反という文言は記載されない、との記述があった。
また実際には施工当時である約20年前から界壁問題は社内で認識されていた模様。
施工不良を隠して資金調達
レオパレスは2013年11月に320億円規模で公募増資をしている。裁判で界壁が無いことがわかったのは2012年12月と公募増資の約1年前。
レオパレスは問題を公表しないまま、市場から資金を調達したこととなり、大問題である。問題を公表しないのはインサイダー情報を自分で隠したまま公募増資をするわけで、増資を受ける人はそれを知らない。
当然株価は割高であり、本当の姿を知らないまま、マーケットは騙されて、その金額で売買が進められたこととなる。資金を集められた人にとっては「本当の姿と違う」「被害者」ということとなり、損害賠償請求が出る可能性がある。
まとめ
ここまでの規模となると、レオパレスは意図的に違法建築を行っていた可能性が高いと見られても仕方がない。2019年3月期決算は特別損失を計上し、赤字幅が拡大することとなったが、実際に引越要請など追加で費用が発生する可能性もありそうだ。
また施工不良を認識しながら資金調達を行ったという別の問題も出てきており、今後もしばらくはレオパレスのニュースから目が離せなそうだ。
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