引越しで住民票を移した場合には、融資を受けている金融機関に対して住所変更手続きを行う必要がある。先日静岡銀行に住所変更手続きを行おうとしたら、不動産登記上の住所変更を借主の費用負担で行うよう求められたが、金銭消費貸借契約書(融資契約)上、変更する必要が無いと拒否した。
現在、静岡銀行内で対応を確認してもらっているが、私の体験談と契約上の解釈をお伝えしていきたいと思う。
登記上の住所変更が必要なのは静岡銀行だけ?
不動産で融資を受けている場合、金融機関に対しては「口座の住所変更」と「融資契約の住所変更」が必要とある。私は静岡銀行以外の金融機関からも融資を受けているが、他の金融機関では登記上の住所変更を求められたことはない。
ところが静岡銀行は、ローンの保証を行っている静岡銀行保証の都合で登記上の住所変更をお願いしてくる。当初電話で連絡した時は、原則、借主負担で登記の変更もしてもらっていると言われた。
契約上登記変更は必要か①?
金銭消費貸借契約書(融資契約)上、借主の負担で登記変更をする必要があるのか、調べてみた。住所変更については「第14条(届出事項)」が該当する。
第14条(届出事項)
1. 借主または保証人について、氏名、住所、印鑑、電話番号その他銀行に届け出た事項に変更があったときは、借主は直ちに銀行に書面で届け出るものとします。
2. 借主が前項の届出を怠ったため、銀行が、借主または保証人から最後に届出のあった借主または保証人の氏名、住所にあてて通知または送付書類を発送した場合には、延着しまたは到達しなかったときでも通常到達すべき時に到達したものとします。
これを読む限り、静岡銀行には住所変更の連絡を行っているので、契約上の義務は果たしていると解釈することができる。
契約上登記変更は必要か②?
「第14条(届出事項)」では、登記上の変更については言及されておらず、静岡銀行のお願いには応じる必要はないと考えている。金銭消費貸借契約書の「第12条(費用の負担)」に記載されているので、そちらも見ていきたいと思う。
第12条(費用の負担)
次の各号に掲げる費用は借主が負担するものとします。
(1) 抵当権等の担保権の設定、末梢または変更の登記に関する費用。
(2) 抵当物件の調査または取立もしくは処分に関する費用。
(3) 借主または保証人に対する権利の行使または保全に関する費用。
(4) その他この契約に関し、借主が負担すべき保証料、保証保険料、事務取扱手数料、確定日付料、火災保険料、収入印紙代その他一切の費用。
ここを見ても、住所変更の際に借主の負担で登記変更を行う必要性は見当たらない。
登記変更に応じたほうが良いのか?
金銭消費貸借契約書上、登記変更の必要性が見当たらない中で、静岡銀行保証の都合であれば、借主が費用を負担する必要はない。登記変更にかかる費用を正確に調べたわけではないが、司法書士にお願いすれば3万円~5万円くらいだと思われる。
静岡銀行と長期的な付き合いが望めそうであれば、この程度の費用であれば負担しても良いと思うが、金利交渉にも一切応じてくれないため、私は費用を負担してまで登記変更を行うつもりはない。現在の不動産向け融資事情を考えても、今後静岡銀行から融資を受ける可能性はほぼないと考えている。
まとめ
静岡銀行は住所変更の際、借主負担での登記変更を求めてくるが、契約書上の必要性が無いと言ったら、行内で検討するとのことで回答待ちとなっている。住所変更を行わなくても大きな不都合はないが、二年に一度送付されてくる「お借入れ明細表」が受け取れなくなる可能性がある。
転送届を出しておけば引越し先でも受け取ることが可能であるが、毎年転送届を出す手間があるため、できれば変更しておいた方が良いだろう。
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