不動産購入時の売買契約書に建物と土地の按分を記載することがある。基本的に按分価格は買主が自由に決められるものではないが、根拠があって説明ができる範囲内であれば、多少の調整は可能となる場合もある。
ここでは建物と土地の按分価格では、建物を多くした方が有利かについてみていきたいと思う。
目次
建物価格を多くするのは減価償却費に影響と与えるから。税金が減ってキャッシュフローが増える。土地が減価償却されない理由とは?
一般論としては、建物価格を多くした方が有利になると言われており、計算上もその通りとなる。しかしながら、不動産を個人で保有するか法人で保有するかによって、税金は大きく変わってくるので、状況のあわせてしっかりと計算することが必要だ。
建物価格を大きくすることの意味は、減価償却費に関係してくるため、税金の支払い金額が変わってくる。税金が減るとキャッシュフローが増えるので、不動産投資では税金をいかに少なくするかが、現金を貯めていくためには重要となってくる。
減価償却費は土地には適用されず、建物しか対象とならない。土地は相場によって価格は上下するものの、経年劣化を起こさないからである。一方で、建物は経年劣化するため、時間が経つにつれて価値は落ちてくる。
法人で購入した場合には、建物価格を多くとってもトータルの収益には影響を与えない場合も。その理由は売却時の税金。
もし法人で不動産を購入して5年~10年保有した後に売却するのであれば、トータルの収益は大きく影響を与えない。確かに、建物価格を多くして減価償却費を多くとったほうが、不動産保有期間中のキャッシュフローは大きくなる。
ところが、多くの人が誤解しがちな点であるが、不動産売却時には、不動産取得価格をベースに売買損益が計算されるのではなく、取得価格から減価償却費の合計を差し引いたものが取得価格となる。そのため減価償却費を多くとっていれば、売却時には取得価格が安くなって、売却益が多くなり、税金支払いが多くなるのである。
例えば5,000万円で購入した不動産物件を、1,500万円の減価償却を使って、4,000万円で売却した場合。購入価格だけを見ると売却損が発生しているように思えるが、取得価格は減価償却の1,500万円を差し引いて3,500万円とあり、500万円の売却益が発生するのである。
このように購入から売却まで全体を見て判断することが重要となる。
サラリーマンが不動産投資を行う場合は5年以内の短期所有か、5年以上の長期保有かで変わってくる。給与所得による違いも。
個人で不動産投資を行う場合は、5年以内に売却した場合の短期譲渡税と、5年以上保有して売却した場合の長期譲渡税では、税率が19%変わってくるため、売却のタイミングによって大きく変わってくる。
そのため5年以上の長期保有をする場合には、できるだけ建物価格を大きくして、保有期間中のキャッシュフローを増やしておいた方が有利だろう。ただサラリーマンが不動産投資を行う場合には、不動産所得は雑所得で分類されて給与所得と合算されてしまう。累進課税となるので、給与所得の金額によっても減価償却を多くした方が良いかは変わってくるので、注意が必要だ。
詳細はしっかりと計算した上で判断した方がよいが、基本的には短期売買の可能性が少ないのであれば、減価償却費を大きくとっておいた方が良いだろう。結果的に5年以内の短期で売却する場合には、税金のデメリットを考慮しても売却した方が良いのか判断していけばよい。
不動産物件購入時の建物と土地の按分は建物を多くした方が有利かまとめ
不動産価格に対する土地と建物の按分は、基本的には固定資産税評価証明書に記載されているそれぞれの評価額に比例して按分することが一般的である。しかしながら、他の方法でも説明ができれば、多少いじることができる可能性があるので、税理士と相談してすすめると良いだろう。
税金をコントロールすることは、不動産投資において重要なことであるため、しっかりと試算して判断したい。
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