サラリーマンをやっている人なら、会社の電話に不動産販売の営業の電話がかかってきたことがある人も多いのではないだろうか?「将来や老後の資産形成のため」「税金の還付が受けられてお得」といった魅力的な言葉を並べて、不動産物件の紹介をしてくることがある。
このような物件はほぼ間違いなく、買ってしまうと失敗してしまう。ここではその理由についてみていきたいと思う。
目次
不動産業者が紹介するマンション区分所有物件のスペック・詳細。キャッシュフロー試算は。銀行借入返済後の資産、所得税の還付がメリット?
不動産業者がよくおすすめしてくる物件の例としては、都内の最寄り駅徒歩10分以内、新築1ルームのRC(鉄筋コンクリート)、物件価格2,000万円、表面利回り5%(100万円/年)といった新社会人や学生などをターゲットとした物件がある。このような物件に対して変動金利2.0%、元利均等払い、借入期間30年というような融資をセットで提案してくる不動産業者は多い。
この物件の家賃収入は約83,000円/月。これに対してローン返済は約74,000円とこの時点で残りは9,000円。ここには不動産管理会社手数料、固定資産税、修繕積立金、広告料、修繕費用、空室率などは含まれていいない。詳細はこれ以上計算しないが、月々のキャッシュフローがマイナスとなるのは明らかだろう。
これに対して不動産業者は、「30年後にローン返済が完了すれば不動産はあなたのもの」、「不動産所得がマイナスとなれば、税務上給与所得と合算して所得税・住民税の還付が可能」という形で購入を後押ししてくる。
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銀行借入返済後の築30年マンション区分所有の資産価値。サラリーマンが不動産投資を行う理由は?キャッシュフローはマイナス。
ここでまず不動産投資を行う理由を考えて欲しい。毎月のキャッシュフローがマイナス、毎月給料から支払いをして不動産投資を行いたいと思っているのだろうか?これに対する答えがイエスなのであれば、区分所有は1つの候補となるかもしれないが、そんな人がいるのであれば他の投資を行った方がずっと良い。ほとんどの人がノーだと思う。
30年後にローン完済となった不動産を所有したいのか?これに対してはイエスと答える人もいると思う。ただ30年間ずっと給与所得から持ち出しとなって、築30年の1ルーム不動産を手に入れても、どれだけの資産価値が残っているのだろうか?ローン返済がない分家賃収入があれば手残りは多くなるが、築30年となれば新築時と比べて大幅に家賃は下落しているし、修繕費用もかかるし、空室のリスクも高くなるし、修繕積立金も多くなっている。
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マンション区分所有で所得税・住民税などの税金還付を受けるのは本当にお得か?不動産業者が買わない理由は?利益が大きい。
最後に税金の還付について。もちろん受けられるのであれば受けたいことだろう。ただ冷静に考えて頂きたい。税金の還付を受けるということは、不動産投資が税務上赤字になっているということである。わざわざ損をする不動産投資を行って還付を受けたいと思うだろうか?例えて言うならば10万円を支払って3万円の税金の還付を受けているようなものだ。
このように区分所有では損をする投資がほとんどとなっている。仮に好条件の物件を見つけたとしてもキャッシュフローはほとんど出ず、手元にお金が残ることはほぼないだろう。
そもそも不動産業者が販売してくる区分所有は、業者の利益が大きすぎて物件価格が高すぎることが収益を圧迫する。電話などで魅力的な言葉を並べてしつこく営業してくることがあるが、そんなに魅力的なのであればなぜ自分で買わないのかということを考えると、からくりが少しわかるだろう。
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【マンション区分所有】不動産業者が電話でサラリーマンに販売する理由まとめ
少しでも不動産投資を勉強した人であれば、電話で営業する不動産物件が投資対象にならないことはすぐわかることだろう。しかしながら、全く勉強していない人で、資産運用を検討したいと思っている人が電話を受ければ、不動産会社の魅力的な言葉に惑わされて、購入してしまうケースがある。
不動産会社は一定数電話をかければ、そのような人にたどり着けることを知っているから、電話での営業を辞めない。高い物件を買ってしまったら、挽回するのはかなり厳しくなってしまうので、しっかり勉強をしてから不動産投資をするようにしよう。
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