スルガ銀行の岡野光喜会長が不動産向け不適切融資の責任を取り、辞任する意向であることがわかった。
不適切融資の調査を進めている第三者委員会は8月中にも調査報告書を公表する予定となっており、その直前での辞任の意向を表明した形となった。
ここでは岡野会長引責辞任についてみていきたいと思う。
目次
スルガ銀行、第三者員会の調査結果公表へ。不適切融資の実態とは?
日経新聞が報道した内容によると、不動産向け融資2兆円のうち、半分にあたる1兆円が不適切に融資されていた。
スルガ銀行はすぐさまニュースリリースを行い、把握している内容はないと報道内容は否定したが、貸倒引当金は第三者委員会の調査結果を待って積み増す予定であることは認めている。
私個人としてはスルガ銀行の不動産融資がほぼ100%不適切融資だと思っている。でなければ高い金利を払ってスルガ銀行から融資を受けるメリットはない。
そして注目の第三者員会の調査結果は2018年8月中に公表される予定となっており、もう間もなくとなっている。
スルガ銀行の不適切融資問題は、書類の改ざんを行った不動産業者、そしてその事実を知りながら融資を受けたオーナーに責任はあるが、スルガ銀行の行員も改ざんの事実を把握しており、指示したケースもあったということでスルガ銀行の責任も大きい。
調査結果内容がどのようなものになるのか、気になるところだ。
岡野会長引責辞任でも、スルガ銀行不適切融資問題は終わらない。
岡野会長はスルガ銀行を設立した創業家出身で、約30年間トップの座についてきた。
今回の不適切融資問題で、スルガ銀行を率いてきた岡野会長は責任を取ってしかるべきたが、果たしてこの時期に辞任するのが適切なのだろうか?
一般的な不祥事であれば引責辞任をして終わりという形でもよいかもしれないが、今回の問題はこれからの処理が一番重要となってくる。
そこを避けるように辞任するのであれば、無責任であり、スルガ銀行の行員を裏切ったと言われても仕方がないだろう。
トップが交代したところで不適切融資問題は終わらず、ここからが大変な局面となる。
唯一考えられるメリットとしては、創業家としての思い入れがないため、貸倒引当金の計上もルール通りに行うことができる。
スルガ銀行の倒産、他の銀行への身売りや売却も簡単に進む可能性があるかもしれない。
シェアハウス「かぼちゃの馬車」オーナーがスルガ銀行東京支店前で抗議デモ。
2018年8月27日、東京都中央区にあるスルガ銀行東京支店前には、シェアハウスオーナー約70名の姿があった。
オーナーはスルガ銀行に対して不正融資の責任を取って白紙撤回を求める抗議活動を行っていた。
オーナーの気持ちはわからなくもないが、オーナーのほとんどは書類改ざんの事実を知っていたわけで、スルガ銀行に責任を押し付けるというのも疑問が残る。
本来責任を問うべきは、不動産を販売しサブリース契約を撤回したスマートデイズだと思うが、スマートデイズは破産申請を行い、責任を取らせようとしても、それだけの資金力がないのは明かな状況となっている。
銀行返済に窮しているオーナーが現状を打破するためには、スルガ銀行からの支援が必要なのは確かだが、白紙撤回というのは行き過ぎた行為。
オーナーも書類改ざんに関与したとして、刑事告発されてもおかしくない状況である。
今後この問題がどのように進展していくのか注目だ。
スルガ銀行岡野会長引責辞任で何が変わるのかまとめ
スルガ銀行の岡野会長が辞任したところで不適切融資問題は解決しない。
第三者委員会の調査報告では、また驚くべき新たな事実が発覚する可能性がありそうだが、その前に責任逃れとして辞任を発表する形となったのだろうか?
残された行員にはこれから一番大変な後処理が残っており、気の毒な状況である。
今後岡野会長の辞任、第三者委員会の調査報告がどのような影響を与えるのか、注目だ。
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