サラリーマンが不動産投資を行うと、不動産所得は雑所得として給与所得と合算して総合課税されるため、高い税率が適用されてしまうことになる。
そのため、資産を拡大しようと思って不動産投資をはじめたのに、税金の支払いが増えただけで、全然手元に現金が残らないという事が起こってしまう。
では税金の支払いを少なくするためにはどうすれば良いのだろうか?
その解決策の1つには会社設立がある。
ここではサラリーマンが不動産投資で会社設立・法人化するタイミングについてみていきたいと思う。
目次
会社設立・法人化の最大のメリットは節税
不動産投資で法人化することの最大のメリットは、税率が低いことである。
サラリーマンの個人の所得税は累進課税で、最高税率は45%。これに住民税の10%を加えると、最大で55%にもなってしまう。
そして注目すべきは、不動産投資を行った場合、不動産の所得は累進課税の高い税率が適用されてしまうので、所得が高いサラリーマンは税務上不利となっている。
一方で法人の場合は、所得が増えても税率が変わるということはなく、法人住民税などを含めた実効税率はおおよそ30%となっている。
また課税所得が800万円以下の場合には、軽減税率が適用されて、実効税率はもっと低くなる可能性がある。
個人の所得税は課税所得が695万円を超えてくると、税率は23%であるため、住民税と合わせると33%。
税金の面で考えると個人の課税所得695万円超が、法人設立を検討するラインとなってくるだろう。
会社設立・法人化は不動産売却時にもメリットがある場合も。経費も計上しやすく、節税効果は大きい
不動産投資で会社を設立すると、不動産売却時の税金でもメリットがある場合がある。
個人では不動産取得から5年以内に売却する場合、短期譲渡税の約39%が適用される。5年以上保有して売却すれば、長期譲渡税の約20%が適用される。
一方法人では、保有期間にかかわらず、約30%の実効税率が適用されるため、個人で5年以内に売却するのであれば、法人で取得しておいた方が、税務上のメリットは大きい。
また法人であれば、個人と比較すると経費を幅広く計上することができるため、節税できる部分が大きい。
もし仕事をしていない家族を法人の役員にすれば、報酬を支払うことで個人の安い税率を適用することができ、家族全体でみれば税金をさらに抑えることができる可能性が高いだろう。
会社設立・法人化のデメリットは設立費用と維持費用。サラリーマンの場合は就業規則も確認した方が良い
会社設立・法人化のデメリットは、設立費用と維持費用がかかることがあげられる。
株式会社を設立する場合には20~25万円、合同会社を設立する場合には10~15万円程度の費用が、資本金とは別に必要になってくる。
またこれ以外にも税理士への顧問料や決算書作成費用、法人住民税などで年間30万円程度の費用が必要となってくる。
節税のメリットを考える場合には、これらの費用をかけてもメリットが出るのか考える必要があるだろう。
サラリーマンであれば、会社の就業規則上、会社設立ができないケースもあるかもしれないので、注意が必要だ。
ただその場合は、出資だけして役員や従業員にならなければ大丈夫なケースも多いので、不安であれば念のため確認しておいた方が良いだろう。
まとめ
順調に不動産賃貸経営を行っていると、税金が資金を増やすための大きなハードルとなってくる。
個人的には今後も不動産の規模を拡大していくつもりがあるのであれば、最初から法人を設立して購入していった方が良いと考えている。
個人では銀行融資の上限金額があるが、法人であれば上限金額がなくなるというのも、法人で不動産投資を行っていくメリットとなる。
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