ここ最近のサラリーマンの不動産投資ブームでは、短期間に数億円の収益物件を購入したという人は少なくない。
正攻法のやり方では短期間でそこまで規模を拡大するはできないが、「一法人一物件スキーム」を活用することで、複数の金融機関から数億円単位の融資を受けることができた。
ここでは「一法人一物件スキーム」についてみていきたいと思う。
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「一法人一物件スキーム」で金融機関から融資を受けられる理由
「一法人一物件スキーム」とは、1つの物件に対して1つの法人を設立して、金融機関から融資を受ける手法である。
新設法人の場合にはオーナーが連帯保証人になる必要があるが、個人の信用情報には記載されないことが多い。
そのため金融機関は他行からの融資の金額を知ることができず、融資が実行されやすくなるという特徴がある。
個人で買い進めた場合には他行からの融資状況は信用情報にのってしまうため、一定の金額まで借入をしてしまうと、それ以降の融資は基本的には難しくなる。
「一法人一物件スキーム」では信用情報に記載されないという制度上の盲点をついて、金融機関を欺いて融資を受けるという、非常に危険なスキームである。
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「一法人一物件スキーム」では消費税還付も可能?
「一法人一物件スキーム」では多数の金融機関から融資を受けられるだけでなく、消費税還付も受けられる場合が多い。
不動産取引では土地には消費税がかからないものの、建物には消費税が発生するため、課税事業者になることができれば、消費税の還付が可能となる。
たとえば、1億円の不動産物件で建物価格が4,000万円の場合は約296万円が消費税相当分となり、消費税還付のメリットは非常に大きい。
消費税還付を受けるためには課税売上高を作る必要があり、以前は自動販売機であったり、最近では金の取引を行うことで対応してきた。
消費税還付を専門にしている税理士もいたりして、不動産投資家の中では消費税還付を目的として、新設法人で不動産を購入するのがブームになっていた。
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「一法人一物件スキーム」のデメリットやリスク
「一法人一物件スキーム」は複数の金融機関から多額の融資を受けられるというメリットがある一方で、金融機関に対しては他行からの融資状況を隠しているため、そのことがばれてしまった場合には一括返済を求められるリスクがある。
また法人設立には当然ながら費用がかかり、設立後も法人住民税や税理士報酬など年間で30万円近いランニングコストが発生する。
もし1億円の物件を利回り10%で購入していた場合、年間の家賃収入は1,000万円。
1,000万円からローン返済、固定資産税などさまざまな経費を差し引いた手残りに対して、30万円はけして小さな金額ではなく、負担は重い可能性が高い。
加えて不動産業者は消費税還付もできることをメリットしているため、「一法人一物件スキーム」で購入した収益不動産はあまり魅力的な物件ではないことが多い。
「一法人一物件スキーム」は短期間で多額の融資が受けられ魅力的なスキームに見えるが、さまざまなリスクが存在している。
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まとめ
「一法人一物件スキーム」とは、1つの不動産に対して1つの法人を設立して金融機関から融資を受けていくスキーム。
オーナーが保証人になっても信用情報に記載されず、複数の金融機関から融資を受けられる可能性が高い。
「一法人一物件スキーム」を活用している人には、消費税還付も受けている人がほとんど。
短期間で規模を拡大できるため魅力的なスキームに見えるが、銀行にばれた場合には一括返済を求められたり、法人ごとに経費がかかったりと収益性に問題がある場合も多い。
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